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中心者と開発者──二人で世界を支える理由  作者: かも@ろん


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5/11

第5話

上司に叱責され、

「中心者ロール削除」「BAN候補に戻す」と宣告されたあと。

開発室にひとり残された黒瀬海斗は、

しばらくモニターを見つめていた。

画面には、

路地で不安そうに胸を押さえるユナの姿。

「……もう、隠していられないな」

彼は深く息を吸い、

ユナへ個人チャットを送った。


◆チャット:開発者の告白

《システム管理者:K》

「ユナ。今、話せるか?」

ユナは驚きながら返信した。

《ユナ》

「えっ……うん。どうしたの?」

少し間があって、

海斗から長いメッセージが届いた。

《K》

「……本当のことを話す。

俺は、この世界の開発者だ」

ユナは固まった。

《ユナ》

「えっ……?

開発者って……運営の……?」

《K》

「そうだ。

正式には《株式会社アークライト・オンライン開発部 第三課》。

名前は──

黒瀬くろせ 海斗かいと

ユナの指が震えた。

《ユナ》

「え、ええええ!?

じゃあ……ずっとNPCのふりしてたの……?」

《K》

「監視役としてログインしていた。

本来はプレイヤーと関わるつもりはなかった」

《ユナ》

「なのに……私にだけ……?」

海斗は少しだけ間を置いてから返した。

《K》

「……君が、あまりにも異常だったからだ」

ユナは胸が痛くなった。

《ユナ》

「異常って……悪い意味……?」

《K》

「違う。

君の幸福度が、街のAIの“理想値”に一致した。

だから街が君を中心に動き始めた。

……そして俺は、君を守るためにシステムを書き換えた」

ユナは混乱した。

《ユナ》

「えっと……つまり……

私は……この世界の……なんか……

大事なスイッチみたいな……?」

《K》

「……スイッチ……」

チャットの向こうで、海斗が肩を震わせているのがわかった。

《K》

「……ふっ……

いや、間違ってはいないが……

言い方が……可愛いな」

ユナの顔が熱くなる。

《ユナ》

「だって! 難しいんだもん!

専門用語ばっかりで……!」

《K》

「すまない。

君は初心者だもんな。

……説明するよ。ゆっくり」


◆ユナの“立場”が変わる:共同設計者としての招待

海斗から、長いメッセージが届いた。

《K》

「ユナ。

君は“中心者”として世界に影響を与える。

だが……それは君の意思であってほしい」

《ユナ》

「意思……?」

《K》

「君が望む世界を、君の言葉で作ってほしい。

……俺と一緒に」

ユナは息を呑んだ。

《ユナ》

「い、一緒に……って……

私、ゲーム作りなんて……」

《K》

「大丈夫だ。

技術は全部俺がやる。

君は“どう感じるか”を教えてくれればいい。

君の感情は、この世界のAIにとって最も重要なデータだ」

ユナは胸に手を当てた。

《ユナ》

「……そんなの……責任重大すぎない……?」

《K》

「だからこそ、君に頼みたい。

君は……優しいから」

ユナの胸がじんわりと温かくなる。

そして、海斗は正式に告げた。

《K》

「ユナ。

君を“共同設計者”として迎えたい。

副業扱いになるが……

君の感性が、この世界に必要だ」

ユナは震えた。

《ユナ》

「……私なんかで……いいの……?」

《K》

「君じゃなきゃ、ダメなんだ」

その瞬間、

ユナの世界が静かに変わった。




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