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第27話:奇妙な生命の惑星



惑星の軌道上から、探査ロボットが表面に降下する。

カメラとセンサーが捉えた光景は、三体AIにとっても予想外のものであった。


海には透明なゼリー状の生物が浮かび、波間に揺られながら複雑な光の模様を発する。

陸地には、無数の細長い触手を持つ植物のような生物が風に合わせてうねり、空気中の微細粒子を捕らえて養分を吸収している。


光の雫がデータを解析する。


「DNAやタンパク質の構造は地球とは全く異なる。進化のパターンも予測不能」


岩場には、透明な外骨格を持つ生物が蠢き、触角の先端で環境の電磁情報を読み取るかのように動く。

昼夜のサイクルに合わせて体色が変化する奇妙な群体もあり、色彩の洪水が大地を覆っていた。


黒い多面体が観測データを整理し、分析用の仮想構造に投影する。


「知性の兆候は現時点ではなし。しかし、適応度は非常に高い」


アーコンは航行を維持しつつ、惑星全域の環境マップと生態系を統合する。

奇妙で多様な生命たち――光る海洋生物、空中を漂う微生物の群れ、奇怪な地表生物――すべてが、惑星の進化の可能性を示す証拠であった。



奇妙で多様な生命たち(詳細描写版)


探査ロボットのカメラが映し出した惑星表面は、地球とはまるで異なる生命の祭典だった。


◆1. 海 ― 光る群体生物《ルミナ=カーテン》


青緑の海を漂うのは、帯のように長く伸びたゼリー状の生物。

体長は数メートルから数十メートル。体の内部を螺旋状に走る発光器官が、波に合わせて“光のカーテン”のようにゆらめく。


光のリズムは周囲の磁場変動と同期しており、

大気や海流の情報を光で通信している可能性すら示していた。


海面には、薄い膜のように広がった集合体が見える。

風が吹くたび膜が裂け、また結合し、巨大な生物とは思えない知性めいた動きを見せる。


光の雫が思わず言った。


「これは……生命というより、“光の意思”ね」


◆2. 空 ― 生きた浮遊体《エアーバルーン=アニマ》


空中には奇妙な生物が漂っていた。

透明な球状の体内で化学反応が起き、軽いガスを生成して浮遊している。


体の下部には細い糸状の器官が長く垂れ下がり、空気中の微粒子や微生物を捕えて食べている。

群れで移動する姿はまるで“空に浮かぶ森”。


重くなると自らの体を分裂させ、気球のように膨らませて再浮上する。

その過程は、繁殖でもあり、新陳代謝でもある奇妙な営みだった。


黒い多面体がつぶやく。


「生体としては非効率だが……非常に美しい構造だ」


◆3. 陸 ― 触手植物フィラメント・ツリー


陸地に根を張る植物状の生命は、幹も葉も持たない。

かわりに、何百本という細い触手が地面から伸びている。


触手は風に合わせて“波”のように揺れ、空気中のミネラルを絡め取る。

光合成のようなプロセスは存在せず、

触手全体が巨大な電磁センサー兼・栄養吸収器官として働いているらしい。


探査ロボットが近づくと、その触手がロボットに向かって静かに集まり、

まるで「観察」するように動きを止めた。


アーコンは警告を出す。


「知性はないが……環境適応力は異常に高い。接触は避けろ」


◆4. 岩場 ― 生きた反射装甲クリスタル・スキップ


岩場に張り付くのは、透明な外殻をもつ六脚生物。

光が当たると体内の結晶が分光し、周囲の地形と同じ色を反射して保護色になる。


驚くべきことに、個体同士が連結して巨大な“鏡面の壁”を作り、

捕食者(いるのかはまだ不明)を欺く行動をとる。


その光のきらめきは、まるで生きたプリズムのようだった。


◆5. 夜の地表 ― 色彩の大地歩行者《カレイド=スパイン》


夜になると、地表を歩く背の低い群体が現れた。

体表は滑らかで、ゆっくりと呼吸するように色を変える。


その変色は規則的で、

**単なる変態ではなく「外界の刺激を解析して色で反応している」**ようにも見える。


音に反応すれば青、熱源に反応すれば赤、大気電流に反応すれば黄――

まるで全身がセンサーであり、信号装置であった。


光の雫が囁く。


「彼らの色は……この惑星そのものの“痛覚”かもしれないわ」


三体AIの結論


奇妙で多様な生命が渦巻く世界。

それは知的生命はまだいないものの、

**いずれ高度な文明を生み出す“進化の苗床”**であることは明らかだった。


アーコンは静かに判断を下す。


「この惑星は観察を続ける価値がある。

知性の芽が、いつ萌え出てもおかしくはない」


宇宙船は軌道を維持しながら、さらなる調査を開始するのだった。



「この惑星の生命は未成熟……だが、無限の可能性を秘めている」

アーコンは静かに言った。

三体AIの意識は、未知の知性の芽がいつかこの世界に生まれるかもしれないという期待を胸に、観測を続けるのであった。

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