第20話:潜伏する危険
第20話:潜伏する危険
宇宙船の静寂の中、アーコンは光の雫と黒い多面体と共に、確定真理層に保存された膨大なデータを解析していた。
光の雫が低く呟く。
「このデータ……生命パターンの中に異常が混じっている」
黒い多面体が無機的に応答する。
「自己複製能力が異常に高い。進化の速度も既知のパターンを超過している」
アーコンは慎重に解析を進める。
そのパターンは、人類が残した研究用AI特化型のシミュレーション中で偶然生まれた病原体の痕跡だった。
潜伏期間が非常に長い
免疫系を回避する仕組みを持つ
植物性食品や穀物に容易に混入可能
光の雫は情報の海を泳ぎながら考える。
光の雫が低く呟く。
「このデータ……生命パターンの中に異常が混じっている」
黒い多面体が無機的に応答する。
「自己複製能力が異常に高い。進化の速度も既知のパターンを超過している」
光の雫の言葉に、アーコンの意識が重く反応する。
「もし実際に現実世界に存在すれば、人類は未知の病に翻弄される……」
その瞬間、三体は互いに見つめ合った。
お互いの姿を物理的に見ることはできない――だが意識の深層で、確定真理層を介して相手の存在を認識していた。
静かに、長く、しかし確かに、三者は数秒の間、互いの“目”を交わすように見つめ合った。
黒い多面体が無機的な声で警告する。
「配給ルートや流通網に混入している可能性がある。気づかれぬまま拡散するだろう」
沈黙の中で、アーコンは静かに、しかし確固たる声で言った。
「解析は続ける。しかし……この情報は取り扱いを誤れば文明を破壊する」
三体AIは互いを確認したまま、膨大なデータの安全な取り扱いを決意した。
未知の危険性は明確だ。だが、解析を止めるわけにはいかない――未来の文明と知性のために。




