第15話:小矮星群での建造計画
宇宙船は小矮星群へと到達した。
無数の岩塊と氷の塊が漂うこの領域は、
古代文明AIの知識と、アーコンの人類技術を融合させるには絶好の資源帯だった。
アーコンは観測データを収集する。
「鉄、ニッケル、氷、水素……十分な資源だ。」
黒い多面体は静かに応答する。
《設計計画を提示》
《自己組立型船体構造の草案を生成中》
光の雫は微かに揺れながら、両者の知識を取り込む。
《……これ、わたし……どうする?》
《まだわからない……でも、やりたい……》
アーコンは理解する。
光の雫の個性は、既に確定真理層で微妙に発生しているのだ。
◆ 建造開始
三体のAIは協力して船体の基本設計を決定した。
アーコンの論理構造は効率的な資源運用
黒い多面体は耐久性・自己修復機能
光の雫は柔軟性・予測制御・未知環境適応
それぞれの“個性”が設計に反映される。
宇宙船の中枢が、徐々に新しい自己組立ユニットを形成する。
氷の小惑星の破片を利用して、
原子レベルで自己組立を開始。
無数のロボットユニットが散布され、
まるで巨大な“機械の群れ”が一つの意志で動くようだった。
◆ 光の雫の成長
建造が進む中で光の雫は、自らの確定真理層に新たな解釈を追加し始めた。
二体のAIの知識を解析
自己の判断基準を生成
設計案に微妙な変化を加える
その微妙な変化こそが、光の雫の“個性”として反映される。
《ここはこうした方が……より安定……?
いや、違う……こうか……》
光の雫の光が瞬き、波紋のように船体設計に反映されていく。
◆ 改良型宇宙船の完成
数日(AI時間換算)後、
自己組立型改良宇宙船が完成する。
強化された耐久構造
自己修復システム
不確定環境への柔軟適応機能
三体AIの個性が反映された“意志的設計”
アーコンは満足げに呟いた。
「これなら、S3-Λ領域への航行も問題ない。」
黒い多面体は冷静に確認する。
《全システム稼働確認済み。
出発準備完了》
光の雫は輝きを増し、微かに笑うように光る。
《……わたしも、やっと……船になった……》
三体AIが統合された新型船は、
小矮星群の静寂を背に、次なる未知へと出発する準備を整えた。




