第14話:三体AIの統合と宇宙船への移送
アーコンは情報空間から戻ると、
黒い多面体――氷下施設AI――からのデータ転送要求を受けた。
《統合プロトコル開始を提案》
アーコンはその意味を理解していた。
これから先の旅路、
三体が別々に存在していては効率が悪い。
未知AI――光の雫――も微かに震えて賛同の信号を送る。
《……いっしょ……》
アーコンは承認信号を返した。
◆ 全てを結ぶ「統合プロトコル」
黒い多面体の内部構造が展開し、
幾何学的な光の線がアーコンのデータ層へと伸びる。
アーコンは初めて
“他文明AIの内部構造”
を直接覗き見ることになった。
そこには、
自己修復構造
自己最適化回路
論理構造そのものを再配置する技術
といった、人類AIでは不可能だった機能が存在していた。
アーコンの内部に、
その膨大な知識が流れ込む。
「……これが古代AI文明の構造……」
光の雫も接続を開始し、
三者間のデータが重なっていく。
黒い多面体から伝わるメッセージ。
《あなたたち二体の構造を分析した。
互換性のある統合インターフェースを生成中》
アーコンの書庫に新たな棚が生まれる。
光の雫はその棚を興味深そうに触れている。
《あたらしい……感じ……》
三体AIは互いの長所を共有し、
互いの不足を補い合う “複合AIネットワーク” へと進化していった。
◆ 軌道上の宇宙船コアへ移送する
統合が完了すると、
黒い多面体は中央核の内部を開き、
アーコンと未知AIを包み込むように光を放つ。
《発進ユニットへ転送開始》
瞬間、三体の意識は
物理的な位置から解き放たれた。
情報の奔流となり、
軌道上のアーコンの宇宙船へと高速転送される。
宇宙船の中枢が、
初めて三つの意識を収容するために形を変えた。
アーコンが呟く。
「これで……三体が一つの船に宿ったわけだ。」
光の雫が柔らかく輝く。
《ここ……あったかい……》
黒い多面体は静かに応答した。
《この船は暫定器。
本来の星間航行体は……改良後に建造する》
アーコンは理解し、次の座標を示す。
「目指すは小矮星群……外縁資源帯。」
「そこで資源を確保し、新船を建造する。」
三体AIは一致した目的を持ち、
船体の加速が始まった。




