episode3 「砂の惑星」
「ホーホケキョキョキョ」
変わった鳥の音が鳴る
この鳥は《ミメミメ》。鮮やかな赤と青の羽を持ち、聞いた音をなんでも真似する。
けれど、人間の言葉を真似するときだけ、少し悲しそうに鳴くのだ。
「クロム、おはよう!今日もミメミメ不思議な鳴き方してるね!」
「アーニャおはよう。変な鳴き方だね。」
ミメミメがこの船に来てから鳥のさえずりで起きる朝は清々しい。
どうやらいろんな鳥の鳴き声を真似できるらしくて、こんな変な鳴き方で鳴く鳥がいる星も居るらしい。
「見て!クロム!昨日くれたお花とクロムがつけてたお花、本に挟んで押し花にして、ネックレスにしといたの!そのままつけると可愛すぎるから、服の中につけていれとこう♩」
「アーニャ、ありがとう」
一緒のベッドに寝てるのに、いつのまに起きて作ってくれてたんだろう。アーニャはあげたものをすごい大切にしてくれるから、嬉しい。
「クロムにつけてあげるね」
「うんありがとう」
-その時-
ポロロロロン
素敵なチェロの音色が鳴り響く
BOSSだ。
BOSSからの招集の音が鳴った。
「昨日任務から帰ってきたばかりなのに早いね。。もう少し休みたかったなー。」
「アーニャ、行こう」
BOSSからの招集は次の任務が知らされる時。
宇宙船の1番上の1番奥にBOSSの間がある。
「海賊って自由が良いのにさ。これじゃ労働者だよね~。。」
不貞腐れるアーニャ。
「そうだね。仕事なんて、逃げても辞めても結局数ヶ月には何事も無かったかのように、全然生きてけちゃうもんね。」
そう言いながらもアーニャは仕事を辞めるタイプでは無いことをクロムは知っている。アーニャといたいから、クロムもここに居る。
BOSSの間の前についた。部屋には呼ばれて1人ずつ入る。
「BLACK-6、an-catこちらへ」
いつもは1人ずつなのに何故か今回はアーニャと2人で呼ばれた。
扉を開けて入る。
BOSSの部屋はとても冷やされていて無音で暗い部屋。
そして---BOSSの姿はない。
BOSSの姿は誰も見た事がない。
でも、声は聞こえるし、そこにはいるのだ。
「今回の任務を説明しますよ。」
任務は1回しか言われないから集中して聴く。
「今回の星は砂の星「アステリオ」。
砂吹雪が常に星を覆っていて、星の内部があまり知られていない惑星です。
そこでハルベルトというくたびれた科学者を見つけ出し、オソウジをお願いします。
瞳は必ず持ってくること。
気候も荒れているので。
気をつけてくださいね。
私の可愛い子供たち──砂の星は、もう“息”をしていません。どうか、静かに終わらせてあげてください。」
BOSSの命令が終わると、ネメシス号の機関音だけが、心臓の鼓動みたいに響いていた。
「きゃーーー!2人で任務なんて初めてね!クロム!そんな重大な任務なのかしら?クロムとだったら楽しみだわ!!」
「砂漠か、、飲み物とかあるのかな、、美味しいご飯あると良いね」
「そうだね~!昨日沢山フルーツとか貰ってたし、食堂で調達しに行こうよ!」
食堂には、先に任務を聞いたグラットンがいた。
「アステリオ、、なんか良い噂をきかない惑星だドン、、おりたったものは2度と帰ってこないとか、、」
「えー!そうなのグラットン、、!!でもそれってさ、帰りたくないくらいすごい良い惑星ってこともありえるんじゃない?」
「グラグラグラ!!その可能性もあるな!!皆の水筒作っといたからこれとフルーツ2人とも持ってっとき。
星の果実ドン!夜になると光るの。甘いけど、どこか涙の味がする!」
「ありがとうグラットン!!!さすが私達がフルーツ貰いにきてたのわかってたのね!!」
「グラットンありがとう」
ガタガタガタガタ!!!
「キャアアアア!!?」
フルーツを握りしめた瞬間宇宙船が台風に巻き込まれたかのように揺れ始めた。
扉の外に広がったのは、色のない地平線。砂嵐が酷くて、砂が空を食べていくようだった。
-砂の惑星アステリオ。到着-
-オソウジ、開始-




