創作で使える心理学
どうも、たまにエッセイを書く人です。
今回のお題はこちら、『創作で使える心理学』です。
心理学を専攻していたので思い出したり調べたりしながら語っていこうかと思います。
まず学問としての心理学とは何ぞや? というところから入ります。
占いとか性格診断とか、そんなんでしょ? 私は科目を選択する前にそんなことを考えていました。
しかし中身は別物だった、ガッチガチの学問でした。
性格診断というのは半分当たっているのですが、内容が想像していたものではなかった。
皆さんの中には自動車教習所の入学テストや入社面接時のテストで『15109570175』というような、ひたすら続く数字の羅列を見たことがある方がいるかもしれません。
そのテストでは隣り合う数字の和を割り出し、数字と数字の間にひたすら和の一桁目を記入します。
これが心理学に基づく心理テストです。私はなんでやねんってツッコミました。
このテストの正式名称はクレペリン精神作業検査法といいます。
もうちょっと詳しく述べますと、計算中に学習して作業効率が上がったり、疲れて作業効率が下がったり、ミスをしたり、適当にやったりしてサボってる人を割り出すテストになっております。考えた人すごいね。
ちなみにごく一般的な質問に答える心理テストは質問紙法と呼ばれています。
と述べたところで本題の創作で使える心理学について語ります。
◇
※創作で使える心理学編
【1.ハロー効果】
これは私が実際に使ってみました。
というか現実世界恋愛でよく使います。
美人さんだし性格も良いんだろうな、とか。表情が冷たいから内面も冷たいんだろうな、というような使い方です。
これは一方の側面が正(負)の値であると評価した場合、他の側面も正(負)の値となる効果です。
別名後光効果。うぉっまぶしっ!
【2.古典的条件づけ】
この辺の心理学はちょっと厄介なのでざっくりと説明します。
詳しく説明するとオペラント条件づけというワードとか出てきます。うん、ざっくりにしよう。
皆さん、『パブロフの犬』という言葉を聞いたことがありますでしょうか?
ベルを鳴らすとわんちゃんのテンションがあがるやつですね。
この原理を説明しますと、わんちゃんがエサを食べるときに毎回ベルを鳴らします。
ですがわんちゃんはそのベルの意味をまだ理解していないのでエサだけ食べます。
これを無条件反応といいます。
ですが、『エサが出るたびにベルが鳴る』ということをわんちゃんは学習するわけです。
するとベルとエサがセットで来ると条件反応で唾液を出すようになります。
最終的にベルの音を聞いただけで唾液を出すようになります。
これは精神的唾液分泌と呼ばれています。
ようはベルが鳴ったらニンゲンってやつがエサを持ってきてくれるんだ! はやくはやく! とわんちゃんは考えるようになるわけです。
これが条件づけと呼ばれるものになり、パブロフとわんちゃんはこの件の実験で一躍有名になりました。
これは犬のしつけにも使えます。
お手をしたらおやつがもらえるってやつですね。
最終的に『おやつ!』と言うだけでわんちゃんはめっちゃテンションが上がるようになります。
で、創作物でどう使うのかというと――『あの城壁とやらの中には人間というエサが沢山いるんだ。前に食った人間は美味かったなあ!』みたいに悪役さんに学習をさせたりするわけです。
【3.ネズミの潜在学習】
これは『アル〇ャーノンに花束を』という作品で実際に使われた心理学になります。
まずネズミさん用に迷路を作ります。
ネズミさんが迷路で行き止まりに当たると減点される仕組みです。
そこで、無事にゴールするとエサがもらえるようにしたわけです。
するとネズミさんはエサ欲しさに迷路の構造を学習しました。
そして、日に日に行き止まりに行く確率が減り、ゴールへ一直線に向かうようになりました。
これは潜在学習と呼ばれ、ネズミさんの頭の中には認知地図というものが作られていたのではないかと結論付けられました。
この認知地図の仕組みはAIなどに流用出来ます。
行き止まりに行くという失敗を繰り返して正しい地図を作り上げ、正解のゴールを導き出すわけですね。
そしてそのAIを積んだロボットは正しい道順でゴールを目指すわけです。
空想科学や宇宙もので使えそうですね。
【4.ユングの四種の精神機能】
これはユングという方が考えた人格、もっと簡単に言うと性格傾向をあらわしたものです。
人はリビドーと呼ばれる心的エネルギーを持っており、それは内向と外向の二種に分けられる。
さらに対となる思考――感情、同じく対となる感覚――直観が存在する。
それらの直観などは内向と外向に分けられる。
対となる精神機能(思考――感情など)は片方が優勢になるともう片方は劣勢になる特性を持っている。
外向というのは外側の世界に関心が向けられる精神傾向のことを指します。
対して内向は自身の内面世界へ意識が向けられる精神傾向を指します。
つまり、例えば思考(内向)プラス直観(内向)型の性格ができあがるわけです(モデル私)。
そんな感じでキャラの性格決定をする際に使ったりできるかもしれません。
このキャラは頭脳派なんだ! だけど感情の起伏が乏しい! みたいに使えるかも?
なんだか小難しい話になってきましたね。
安心してください、次の話も小難しいです。
【5.フロイトの人格理論】
フロイトは心は自我、イド(エス)、超自我の三つから成り立つと考えました。
イドとは、体から供給されるリビドーと呼ばれるエネルギーにより機能している。
なおイドは基本マザコンらしい。
フロイトあるあるなんですが、これも例に漏れず快楽を原動力としております。
つまり性的欲求とかですね。エロスは全てを解決する。
自我とは、イドと外界の間に挟まってる中間管理職さんです。
理性や性格みたいなものです。
これがあるから皆エロスに走らず、きちんと自分を律して社会で生活しているわけです。
でも中間管理職の自我さんは大変らしく、たまに崩壊しそうになります。それを止める役割を持っているのが防衛機制という機能です。
そんな感じで自我さんはいつも頑張ってます。
超自我とは、社会で生活する中で獲得した特性のことを指します。
イドくんがわがままを言っても、超自我さんは止めに入るのです。
ではどのようにして超自我さんが育つのかというと、親の教育が根幹にあったりします。
『あれはやっちゃだめ』と親から教わると、超自我さんは理解してイドくんのわがままを止めるわけです。
これは禁止系と呼ばれています。
対となる存在として理想系があります。
親から褒められたいんだーって思ってスポーツをやったりするわけです。
そんな超自我さんと自我さんはちょっと仲がよろしくない。
超自我さんが怒りすぎると自我さんは『どうせ俺なんて……』って思って劣等感を抱きます。
劣等感の正体ってこれらしいですよ。
そんな感じで人格って維持するの大変だよねって話でした。
防衛機制くんが崩れ落ちたらもう終わりです。人格崩壊待ったなし。
俺はフラれたけどイドくんが彼女に会いたいとわがままを言いすぎて自我くんが崩壊した! イドくんの言うがままにして、ストーカーになってやる! みたいな感じで使えるかも?
※防衛機制の中には色々な物があるけど長くなるので割愛。
ここに触れるとめっちゃ長くなります。
大体十項目くらいあるんで。
例えば投影とかですね。
ユングのもそうですが、こういった人格(性格)は態度に表れます。
キャラクターに上手く落とし込めれば説得力が増すかもしれません。
なお筆者はできない。かなしい。
【6.認知的バランス理論】
たとえばAさん、Bさんという人がいて、Cという話題について語り合ったとします。
そして二人ともCという話題が好きだったとしましょう。
すると会話が弾んで仲が良くなるわけです、当たり前ですが。
これが認知的バランス理論です。
対してAさんはCという話題が好きだけど、BさんはCという話題が嫌いだとします。
するとAB(+)、AC(+)、BC(-)という値が出ます。
ここでこれら三つを掛け算します。すると負の値(-)になります。
そうなんです。この掛け算の結果がマイナスになるとバランスが取れなくなるんです(インバランス状態)。
プラスになるとバランスが取れます(バランス状態)。
AさんはBさんのことが嫌いで、AさんはCという話題が嫌い。
対してBさんはCの話題が好きとなった場合、正の値が出るのでバランスが取れている状態となります。不思議ですね。
A氏「Bの野郎、Cって話題が好きらしいぜ。俺は嫌いだけどなプークスクス!」みたいな感じなのかも。
A氏「昔は敵だったけど今はCという共通の敵がいる。だからB、味方になれ!」
B氏「おう!」
C氏「どうしてこうなった」
『AB(+)、AC(-)、BC(-)』みたいな使い方が出来るかもしれません。
【最後に】
長々と話に付き合っていただきありがとうございます。
ハロー効果はとても使いやすいので、ぜひ使ってみてください。
そんな感じで、以上を持ちまして創作で使える心理学は終了となります。
ご清聴ありがとうございました。