煉獄
グロ描写は最初だけ、かなり流してある。
温かい液体を浴びる。
彼はこの人物を殺す必要があった。
復讐だった。
彼には他に最低でも5人は子供がいたらしい。
会ったこともない。
聞いたこともない。
名前も、戸籍すらも存在しない。
殺した相手は悪知恵だけは一丁前だったらしい。
ただ、日記を残していた。
彼は病弱だった。
何度も鉗子が入り、子を孕み、それを産科に行くこともなく殺していた。
母の愛は偽物だったかと疑った。
しかし、違う。
母は混じる想いはあったが、愛していた。
日記を読んだ時、自分に父がいない理由が分かった。
男は育てると決めた時点で逃げていたのだ。
正直、これを知った時、母の愛を気持ち悪いと思った。
俺は母を殺すと決意した。
当日、知ったこと、予想がついたこと、内心、全部を吐き出した。
日記に書いてあったこと、両親じゃ無い理由、気持ち悪い、全部を吐き出したんだ。
それを聞いて、母親は諦めてしまったかのような笑顔をこぼし。
「どうする?」そう聞いた。
自分は結果を述べた。
「辛くなるよ?」だった。
私は母を睨んだ。
「私はあなたを愛してる。」
その言葉を聞いて、刺したのはお腹だった。
胸や喉を刺せばよかったのに。
刺してすぐ、そう思った。
母は感謝する様な目線を向けて
「バイバイ」
そう言って抱きついた。
ぐちゃぐちゃだった。
全部が。
残ったのは最悪な気分だけだった。
14の夜だった。
「どうしたらよかったんだよ。教えてよお兄ちゃん、お姉ちゃん」
見つかったのはそれから一ヶ月だった。
思い出したのは最悪な想い出だった。
と言ってもせいぜい2〜3ヶ月前の出来事だが。
結果としては中途半端だったらしい。
あれから少年法を恨まない日はなかったことを思い出す。
刑務所に行けない。
少年院に入った。
それすら情状酌量の余地と周囲の信頼があったのかすぐに出てしまった。
全部、中途半端だった。
〜なんて厚みのある人生なんでしょう。〜
最悪な言葉だった。状況もその後に起こったことも。
転移した。
直前の全ての行動から最悪な言葉だった。
その感情で起こした結果は全てにおいて最悪の結果だった。
俺が転移したというかさせられた国を滅ぼす。
最悪な結末だ。
しかしそれで分かったことも存在する。
プラスマイナスで言えばマイナスだが。
昔、母親を殺す為に迷走していた時、殺す一助になればと習得したとある剣の流派がスキルという体系化された物になっていた。
試しにと使ってみた凪はあっちにいた頃より暴力的になっていた。
しかしどうしようか。
国を滅ぼして得た物資がある、知識がある、しかしこの世界は生きるには存外面白いかもしれない。
身分を隠して冒険者とやらになってみるか。
この罪は雪ぐことが出来るのだろうか。
ママにあいたいリスペクトです。導入部分だけですけど。