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今日

作者: カミハテ

何度読んでも楽しめる作品です。そのはずです。



明日はいい天気になーーれっ


遠くから声が聞こえる。



ミンミンミンミンミンミンミン


蝉の鳴き声。




空を見上げた。

そこには晴天と、それでは申し訳なさそうにとぽつりぽつりと映る雲。




8月15日。気温32℃。真夏日の様な暑さ。

蒸せ返る熱気。蝉の鳴き声。そして女の子の声。

ありきたりな日常

もう二度と現れることのない今日。



思考を巡らす。

でもすぐに考えることをやめる

何も変わらない。

明日もきっと同じ

"そんな保証はない"


わかっていても、気づいていないフリをする。

明日も明後日も明明後日も。

きっと同じ。



バチっっっ



「おわっっ!?」


不意に何かが目の前を通り過ぎ、腑抜けた声が出る。


「蝉………かな……?」



蝉でもなんでもええねん

もっとしっかりせな!!



「うーーーん、虫は苦手なんだよなぁ。」



男の子なんだからもっとしっかりせんと!

頼りないよ!!



「帰るか。」



うん


元気でね


またね





ねーねー!!サッカーしようぜー!!


遠くから男の子声が聞こえる




ミンミンミンミンミンミンミン


蝉の鳴き声





何も変わらない、いつも通りの日々

でも、かけがえの無い日々




ありがとう


大好きだったよ。














皆さんはお気づき頂けましたでしょうか?

こちらの小説には2つのおかしな点が存在しています。

ですが、それは敢えてです。

では、そちらのおかしな点を説明していきましょう。

ここから先は答え合わせの様なものなので、え!?待って!!探したい!!気づきたい!というような人がいたらスクロール厳禁!でございます。それでは。






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ヒント編



まず始めにおかしな点が2つあるのでそちらを説明していきましょう。


①明日はいい天気になーーーれっ!!という冒頭の後に主人公の男の子は晴天の空に〜と語っています。"明日は"とはまるで"今日の天気が悪い"ように思いませんか?なのに今日の天気は晴天。


②文章の中に句読点(。)が付いていたり、ついていなかったりする。よく見ると"。"がついている文章とついていない文章があります。


まだ、解答までには至ってないので、戻るなら今がチャンスです!気づかなかった人は是非、このことを踏まえて一度読んでみてください!!




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解説編


それでは、こちらのおかしな2点説明していきましょう。



皆さんはこの小説、どのような物語だと思いましたか?

男の子の記憶?それとも思い出?

それでは不充分なんです。

これは、男の子と女の子の2人の切ない物語なんです。


文章中に、"8月15日"という表現があったのを覚えていますか?8月15日はなんの日でしょうか?そうです。お盆です。

お盆ということは?そう、この男の子はお墓参りにきている風景を描いてるとわかります。


それでは、①のおかしな点に戻りましょう。"明日はいい天気になーーーれっ!!"こちらの文章、これはお墓参りに来た男の子がお墓の前で手を合わせている時、ふと思い出した彼の記憶の中からきているのです。その後に蝉の声が聞こえます。これは現実で起こっている事ですね。


つまり、記憶の中の世界→現実の世界と、手を合わせている彼は記憶の中の世界と現実の中の世界が混じっている状態と言えます。


②ですが、先程も申し上げたようにこれは男の子と亡くなった女の子のお話です。ということは?"。"がついている文章は今を生きている男の子、"。"がついていない文章は、文章としてそこには存在していない→存在しないはずの女の子という解釈ができます。

そして、実はこの文章、"。"がついていない文章を抜かして読むこともできるのです。


男の子にはこの亡くなった女の子の声と言うのは聞こえていません。冒頭の女の子の声はあくまで彼の記憶の中のもの。この男の子には女の子の声は聞こえていないのです。

ですが不思議。彼の頭の中の彼女は彼が気づく事なく彼に話しかけているのです。

そして、"。"のついた文章だけを読むと少し弱気な彼の性格がわかります。"。"をつけない文章は"自分のためにお墓参りに来てくれた、亡くなった女の子目線"なのです。


お気づきになられたでしょうか?

是非、これを踏まえてもう一度読んでみてください。

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