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第二十八話「これからの関係」

お昼に三千ポイントありがとうございます!

なんて書いて更新したら、詐欺になってしまったでござる……。

「こうして三人で帰宅するのも久しぶりだな」

「そうね。まあ、秋久とはずっと一緒に帰ってたけど」

「あの頃は、学校が終わると陣。いつの間にか帰ってたからね」


 ようやく過去の因縁に決着をつけた俺達は、三人仲良く帰路についていた。

 ちなみに自転車は駅から持ってきて押している。

 昔の俺達の関係を知っている人達が、俺達三人の姿を見ると揃って驚いた様子で見てくる。当然と言えば当然か。

 五年間……長かったな。


「それにしても、お前恥ずかしげもなく人の体をべたべた触りやがって……」

「別にいいじゃない。減るもんじゃないし」

「秋久にもあんな風に触ってるのか?」

「さ、触られてないよ!!」

「秋久は恥ずかしがり屋だから」


 あれからずっと、俺の成長を確かめるとかなんとか言って俺の体を触りまくってきた。

 子供の頃は、やたらとボディータッチが多かったが……あれは子供ならではの無垢さ。

 しかし、今は俺達にも羞恥心というものが芽生えている。

 俺も正直、女子に素肌を見せたり触られたりするのは恥ずかしさがあった。だと言うのに、由果はそんなもの関係ないとばかりにべたべたと……。


「じゃあ、手を繋ぐだけで赤くなるのか?」

「うん。それに秋久の方から握ってくれたことはないかな」

「いや、だってそれは。あんまりべたべたするのも……」


 これは、秋久が尻に敷かれるってパターンだな。

 まあ、普通に予想できていたことだけど。


「っと、もう着いたか」


 色々と話すことが多くて、まだまだ話足りない。

 けど、由果の体調を考えるとゆっくり休ませたほうが良いだろう。


「それじゃ、また」

「ええ。今日は、ぐっすり眠れそう」

「今日は、僕達にとっての記念日だ。ちゃんと記録しておくよ」


 そうか。記念日……。


「仲良し記念日ってところか?」

「じゃあ、来年はお祝いでもする?」

「そうだね。それもいいかもしれないね」

「気が早すぎるだろ」


 などと言い合いながら俺達は、各々の家へと入っていく。


「ただいまぁ」

「おかえり!! 陣後輩!! その様子だとうまくいったようだね!!」

「うお!? し、紫之宮先輩!?」


 弾んだ声で家に入ると紫之宮先輩が出迎えてくれた。

 いや、紫之宮先輩だけじゃない。


「おっす、陣。陣の部屋から見てたぞ。良い雰囲気だったじゃん」

「これで三人の友情が再びひとつに!!」

「おめでとう、一色くん!!」


 佐々倉、筒田、天澄までもが俺の家になぜか居た。

 ……待ってくれたのか。

 

「陣。由果ちゃんとも仲直りできたみたいね」

「おめでとー、兄さん。これからはまた二人が遊びに来るって思うと楽しみだよー」


 母さんと里桜まで。

 父さんは仕事でまだ帰ってきていないようだけど。


「……たく、大袈裟だな」


 本当は嬉しいくせに少しクールな対応をとってしまう。それに対して、佐々倉と筒田が何かを察したのか頬を人差し指でぐりぐりと擦ってくる。


「おーおー、なーにクール気取っちゃってんですかー?」

「というか、どったのさ? なんか頬赤くない?」


 若干痛みは引いたが、まだ赤い。

 なのでぐりぐりしないでほしいんだが。


「ははーん。さては、由果ちゃんからこれでチャラにしてやるわー! とか言われて叩かれたのね?」


 当たりです、母さん。


「あれ? ネクタイ曲がってるよ一色くん」

「むむ? 見てください、皆さん。ワイシャツも乱れてます!」

「なんと!? まさか仲直りした途端に……」

「いったいどんな妄想をしているかわからんが、違うからな?」

「じゃあ、どんなことしたらそうなるの? 兄さん」

「いや、これは」


 正直に言うべきか。

 いや、正直に言ったら確実に変な誤解をされる。まさか仲直りした途端に、由果から全身をべたべたと触られたなんて……。


「黙秘する!」

「あ、逃げた!」


 俺は皆を振り払い、自室へと駆けだす。

 しかし、鍵をかける前にドアノブを掴まれてしまった……央さんによって。


「その乱れ方から考えるに、おそらく全身をくまなく触られたのでしょう」


 その乱れ方からって……央さん、なんか笑顔なのに怖いんですが。


「はっはっは! 逃げることはないじゃないか、陣後輩! 今日はこれから我々でよくやった! 会を開く予定だと言うのに」


 央さんが抑えている間、紫之宮先輩達も二階へ上がってきて、どんどん俺の部屋へと入っていく。

 

「おーし! 今日は騒ぐぞー!」

「オールナイトだー!!」

「待て待て! 明日も学校があるんだぞ!!」

「気分だよ気分」

「それにあんまり騒ぐのは……ん?」


 スマホにメッセージが届いた。誰だ? と確認すると……由果だった。

 そこには、こう書かれてた。


【あまりうるさいと今度からハーレム野郎って呼ぶから】

「……」

「あれ? どうして陣のあだ名を」

「私は教えてないよ?」

「あ、新島さんが窓に」


 天澄の声に新島家がある窓へと視線を向ける。そこには、ものすごいジト目で見詰める由果の姿があった。そして、俺達に見えるようにスマホを操作する。

 再びメッセージが届いたので、確認すると。


【楽しくやるのは良いけど、場所と声のボリュームには気を付けること。いい?】


 その後、再び由果を見ると早く返事を返せと言っているかのようにこっちを見ていた。


【りょ、了解】

【よろしい。じゃあ、私はお風呂に入ってくるから】


 それを最後に由果は部屋から出て行った。


「姉かな?」

「幼馴染です」

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