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プロローグ

僕、春風司(はるかぜつかさ)は乙女ゲームが大好きな十八歳の高校三年生だった。勿論、男友達にそんな事が言える訳もなく、乙女ゲームにハマってからの十年間、この趣味に関しては誰にも口外した事は無い。


「今日はアルテミスの矢の発売日だなあ...楽しみ。」


アルテミスの矢、僕の好きな乙女ゲームを開発したゲーム会社の最新作。今回の作品はシナリオ担当のスタッフが有名な方らしく、発売前から大反響で予約が殺到。今現在、ネットショップやゲームソフト販売店での予約は締め切られている。


僕は予約が開始された当日にアルテミスの矢をネットで注文した。予約完了の画面を読み込むのに十五分程度の時間を要したのには驚いたが、後でシナリオスタッフの事を聞いて納得した。それ程に影響力のある人なんだ、と。


「さて、そろそろ。」


僕は自室のベッドから起き上がり、部屋の外へ繋がる扉を開ける。徐々、時間指定で注文した乙女ゲーム、アルテミスの矢が届く時間帯だ。時刻は午後十五時三十分、丁度二階から一階へ降りた時にチャイムは鳴った。僕は玄関の扉を開けてダンボールに入った荷物を配達員から受け取る。支払いは携帯払いで済ませているのでお金は用意しなくて良い。


配達員にお礼を言い、玄関の扉を閉める。直ぐに乙女ゲームをプレイしたかった僕は足早に二階の自室へと向かった。自室に入り、小型ゲーム機を起動する。このゲーム機はバイトを始めてからの初給料で買った思い出のある品だ、未だにこのゲーム機専用のソフトが出続けているのだから、まだ現役なのだろう。


「早速、プレイさせて頂きます。」


この誰に言った訳でもない言葉は癖で特に意味は無い。ただゲームをプレイする度に習慣化しているのは間違いないだろう。


「おお、華やかなタイトル画面だ。」


再びベッドへ横になった僕はゲーム機に映し出されたアルテミスの矢のタイトル画面を見て、つい声を上げてしまう。儚げな雰囲気を漂わせる茶髪でハーフアップの美少女を中心に複数の美男子が彼女に好意を寄せた眼差しを向けているタイトル画面は華やかと言う他ない。


僕は決定ボタンを押して、次の画面へ進む。画面右上にメニューと表記されているから後は画面中央のニューゲームを選択するだけで乙女ゲームが始まる。その他にもニューゲームの下側にロードゲーム、ギャラリー、オプション、等のモードがあるが、ロードゲームはまだロードするデータがないので選ぶ必要は無く、ギャラリーやオプションも基本的に最初は見る必要は無い。僕は迷い無くニューゲームを選択して乙女ゲームの主人公の名前を決めた。そして画面が暗転すると同時に大々的にタイトルが映し出される。


アルテミスの矢、この時の僕はまだ何も知らない。僕がこの乙女ゲームの異常すぎる攻略対象に転生してしまう事など。

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