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I'm just thinking about the days away【1】

今回は中身少なめですの……。

ただ70話とハロウィンがバッティングしてるし何かやろうと思ったのですが残念、時間が無かった。

 俺とジャックは凩の友人兼仕事のサポートを引き受け、早速凩の仕事場であるという外へ移動した。

 外の掃き掃除でもするのだろうか、なんて事を考えているととんでもない光景が目に飛び込んで来た。


「嘘だろ……ここは本当にハザミなのか?」


 眼前に広がる光景に思わず声が震える。

 夕方に見たとき、凩の屋敷の周りは何の変哲のないただのもの悲しい道があっただけだった。そのはずだ。

 しかし、今そこにはーー。


「座標的には間違いなくハザミだけど見渡す限り魔獣しかいないかな!!」


 ーー控え目に言って地獄が広がっていた。

 屋敷の上にも空にも、どこもかしこも魔獣だらけで魔獣のいない場所を探すのも困難な程に魔獣が跋扈している。

 最早これはスタンピードやデスマーチどころの話では無い。普通にデスだ。死だ。

 だが、凩は慣れた様子で木刀の一振りでもって一気に魔獣達を屠って行く。それこそ掃き掃除をするかのような気軽さで。


ーー『知らずに来たか……馬鹿者め。ここは夜になれば魑魅魍魎、悪鬼羅刹が蔓延る魔窟と化す。誰しもがそれを退けるために刀を持ち、死闘を繰り広げる。そんな国だ、それを修羅の国と呼ばずしてどうする』


 不意に凩の養父の言葉を思い出す。

 つまりあの言葉には一切の誇張も脚色も無く、そのままの意味であったらしい。

 ……俺はどうやらとんでもない仕事を引き受けてしまったようだ。


「……本当に修羅の国って訳かよ」


 余りの数の多さに怖気ずく俺に凩は。


「さて、あんさんも一狩り行かんかの?」


 そう言いながら最高に良い顔で笑い掛けたのだった。


 ……その時俺の顔が過去最大級に引きつったのは言うまでも無い事だろう。


「ああ分かったよ! バァンとやってやんよ!!」


 俺は半ば自棄になりながら腰に帯びた木刀『唯識』を抜き、両手で構えるとそのまま魔獣達の楽園に飛び込んだ。



 ♪ ♪ ♪



 夜風が止み、じわりじわりと陽が昇る頃に戦闘は終結した。


「し、死ぬ……」


 そう口にすると汚れも厭わずその場で転がる。

 やはりと言うか、俺は終始足手まといだった。と言うのも基本戦術であるヒットアンドアウェイが圧倒的な物量によりほぼほぼ機能せず、魔素カルマで火を出せはしたが辺りに凩の屋敷しか無いとは言え十全には振るえる訳でもなく、更にオルクィンジェとの一件のせいで力を借りるのも躊躇われ、結果的にかなりの縛りプレイを強いられる事となったのだ。ボコボコにされるのも納得である。


「そう言えば……ステータス上がってるか?」


 これほどの規模の戦闘だ。レベルも少しは上がっているだろうとメニュー画面からステータスを閲覧する。

 やはりと言うか、レベルが上がっていて二十まで上がっていた。


「DEXは大分高くなったな。POWの伸びも良いし回避型の魔法アタッカーっぽくなってきたか。低かったCONもまずまず伸びてるし悪くはーーんんっ?」


 そこで、とあるステータスが前見た時よりも格段に少なくなっている事に気が付いた。


「あれ、俺のSANこんなに低かったっけ?」


 確かレベル五の時点で七十程あったSANが五十二まで削れていたのだ。

 SANは確か……あれだ、何かしらでネタにされてたステータスだ。一体何でネタにされていたかは分からないのだけれど。

 他のステータスはVRMMOモノを読み漁った時期があったから知っていたがこれだけが未だに分からない。低いと何かしら悪い事がありそうな気がするが具体的に何が起こるのかは不明。何だか不気味だ。

 そんな事を考えていると濡れた手ぬぐいを持ったジャックがこちらに近づいて来た。

 どうやらこれで顔を拭けと言う事らしい。


「いやぁ、中々キツい戦いだったねぇ。お疲れ様」


「実際、中々どころの話じゃ無いんだけどな……」


 ジャックから手ぬぐいを受け取りながらそう口にする。

 体は鉛を全身につけたかのように重たく、受け取る手ですら小刻みに震えた。


「でもよくやったと思うよ。ただ……比較対象があれだから説得力無いかもだけど」


 ジャックは視線を伸びをしながら大欠伸をする凩に移す。

 凩は眠そうにはしているがそこまで被弾した様子も無い。いや、ほぼ無傷と言っても良い。

 流石に修羅の国で二番目に強い男。尋常じゃないレベルで強い。

 ……と言うかそのまんま修羅な気さえする。


「ふぃー、仕事終了や。さて、朝飯食ったら昼まで寝るかの。あんさん! 飯行くで!!」


 徐々に昇る陽の光の眩しさに目を細めながらゆっくりと立ち上がる。


「……応!!」


 擦り傷や打撲が多くて身体も重いけれど戦いを乗り越えてから見る朝日って言うのは中々に趣深いものだと、そう思った。


 ただ、オルクィンジェと喧嘩しなければこの景色を一緒に観れたのだろうかと考えると罪悪感で胸がチクリと痛んだ。

清人SAN値無くない? うぉううぉう

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