表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
249/257

最終決戦・目覚め

すまーん! 今回いつもの半分の量しか無いッッ!!

 杉原叶人は迫る期限の中、鍛錬を行わない代わりに研究を行っていた。

 その研究内容は主に魔素について。

 魔獣化やモンスターについて叶人は手当たり次第に研究を重ねていた。


『魔獣化に際して体積が明らかに膨張するのは何でだろう』


 それは叶人が解を出した問いの一つだった。

 結論から言えば魔素のせいである。魔素は非物質でありながら些細な刺激で物質、或いは炎や雷と言った事象そのものに変化する性質がある事が分かったのだ。

 そこから生まれた技術こそが、魔装。


 さて、凩の一見自爆覚悟の様に見える呪いの戦術ではあるがこれは実際自爆でも何でもない。ようは無くなった分を魔素で代替してしまえば良いのだ。


「……成る程、お前俺と殆ど同じ事をやってるって訳か」


「そう、いう事……やっ!!」


 地面を強かに蹴り飛ばし凩は前に進む。

 そう、地面を蹴り飛ばして。

 無くなった筈の凩の足はいつの間にかそっくり生えていた。まるで乳歯が生え変わるかの様なそんな気軽さで。

 これこそが幻想の旅団が辿り着いた一つの禁忌。代替の法。魔素で欠損した部位を代替する技能だ。


「血塗レ舞風!」


 そんな凩が放つのは斬撃に自身の血に宿る呪いを織り交ぜた危険極まりない一撃。当たれば即死、擦れば呪い、簒奪されても尚呪い。余りにも隙のない外道でそれでいて無慈悲な攻めだった。


「クソッタレが!」


 対するシュヴェルチェは斬撃を紙一重で避けながらも舌打ちする。

 シュヴェルチェにとって状況は悪い。初手で大ダメージを与える心算が蓋を開けてみれば結果は女一人の手一つ奪っただけに留まり、迂闊に喋ったせいでタネも割れた。オマケに呪いをバンバン放って来る上奪っても呪った挙句無くなった部分を補填してくる馬鹿もいる。残りの一人に関しては完全に静観を決め込まれている。状況は五分五分……では無い。シュヴェルチェ側が不利である。


「チィッ!」


 そんな中の、被弾。奪ったリソースですぐさま回復するもののそれは凩も同じ。しかし呪いは着々と進行する。


「ダァァァァァッ!! 何で! この俺が! 苦戦してんだよォォォォッ!!」


「それがお前の弱さや。常に奪う側だったから油断した。そんだけの単純な話や」


「油断? 冗談!! 何を感じる事すらなく俺は奪って来た!! 俺に油断は無いッ!!」


「ほいたら、尚更重症や」


 冷たい声、家畜を見る目。凩の見せる冷酷な一面にシュヴェルチェは恐怖し、


「嗚呼、嗚呼!! 奪う!! 奪ってやるとも!! その気に食わない面の皮諸共全て!!」


 同時に火が付いた。

 付けてしまったのだ。全く理不尽な話ではあるが。凩は下手を打ってはいない。寧ろ対処としては上々と言える。言えるのだが――最善手が最高の結末を運ぶとは限らない。


 その瞬間、簒奪の渦が三人に向かって放たれた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ