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Last stardust【3】

清人VS叶人開戦ッ!!

そして明かされる『色欲』のとんでもない能力!!


注意)この話の後半部分には人よっては不快になるかもしれないシーンがありますので『あ、これ駄目だ』ってなったら静かにブラウザバックして精神を守りましょう。

 そこには、一体の天使が居た。

 絞られた光量でも分かる、純白の羽根。しかしそれがただの羽根では無い事を俺は知っている。それは継ぎ接いだ死者の身体を守る柔き盾。


「来ないのが最善だったけど、やっぱり来たか」


「ああ、それが俺だからな」


「……正義の反対は別の正義って言うけど、俺は正義なんて持ってない。あるのはただのエゴと自己満足。それだけだ。悪いな叶人。俺はお前程善良なつもりはないからな。……ただそれだけの理由で俺はお前の旅を終わらせてやんよ」


「旅は終わらないさ。それに俺が救いたいと思うのも自己満足だ。善良なんてもんじゃない。結局、結論が違うだけで根本はお前と一緒だ」


「絶対に止める」


「絶対に進む」


 俺たちは似ているようで似ていない。けれど似ていないようで根本は全く同じ。


「懐かしいよな、このシチュ。ゲームとかアニメでよく見た光景だ」


「『理想を抱いて溺死しろ』か? それとも『劣化レプリカ』か?」


「両方だッ!!」


 俺が走り出したところから戦闘は始まる。

 現状清人の『暴食』の能力に対抗する手段は二つしか無い。

 魔獣化か超覚醒だ。

 何せ全身が消化器官なのだ。『第一魔素』を使った火の魔法が軒並み使えなくなった今の俺ではアッサリと捕食されて終わりだ。相性の面では最悪と言って良い。

 だが、例外がある。

 魔獣化や超覚醒では手足が獣のものに置換されるが、これは粒子を基に構成された鎧を纏っている感覚が近いか。要するに殴っても消化器官が人体に触れる事がないのだ。

 しかし、魔獣化も超覚醒も著しく体力を消費する。となると結論は一つ。


 いつも通りの速攻。


「来いよ絶望ッ!!」


 身体に黒い粒子が纏わり付くと獣の手足が完成する。二足歩行を止めて獣じみた四足走行へと移行しながら清人との距離を詰める。


「がァァァァッ!!」


 全身のバネを使い全力で上に跳躍すると躊躇いなく肥大化した爪を振り下ろす。

 清人もそのまま受けたら不味いと察したのかすぐさま羽根でやんわりと受け止めながら下がろうと試みるが――。


「もう、一、発ッ!!」


自分の腕を押し込むようにもう片方の腕を重ねる。


「なっ!?」


 爪の勢いは衰える事なく白い羽を散らし清人の身体を微かに掠める。だが予想通り掠った爪の先は消化された様子は無い。

 ダメージが無いと確信した俺は更なる連撃を繰り出す。叩き付けた腕を基軸にバク転からの獣の足による踵落とし。


「曲芸かよッ!!」


 防御と自衛に重きを置いた清人は文字通り防戦一方――。


「ッ!?」


 嫌な予感を察知してアクロバティックな挙動で背後に下がると半拍後にその場の地面が抉れた。

 ……完全に失念していた。そう言えばハザミのデスマーチの時に一帯の空間ごと喰いちぎると言う範囲攻撃を行なっていた。下がっていなかったら間違いなく喰われていたという事実に汗が噴き出す。


「はぁ、はぁ、俺はお前を止める為なら腕の一本足の一本、食いちぎってやんよ」


「どうしてそこまで……ッ!!」


「世界なんかの為にお前を犠牲にさせてやらねえ。ただ、それだけだッ!!」



♪ ♪ ♪



「ああ、そうそう。奥方並びにご友人には危害を加えないって言ったけど……高嶋唯。テメェは駄目だ」


 時間は少し遡り叶人が先に進んだ直後にクロエはそう口にした。


「俺っちさ、ずっと見てたんだよね。ご主人とお前の事。厄介な事をしてくれたよ。本当。俺っちを自殺する為の小道具扱いしたのも許し難いし、何よりご主人を悲しませた。許せないよ」


 高嶋唯とクロは互いを嫌い合っていた。それこそ、触れようとしたなら大袈裟に逃げたくなる位にはクロは唯が嫌いだった。

 そして、結果的に唯にそれを利用され『道路に飛び出したクロを追って清人の目の前で事故に遭って死ぬ』と言う最悪なシナリオに知らぬ間に加担させられた。

 絶望だった。そして憎んだ。高嶋唯を。


「それにさ、ニャルに聞いたよ。実父に無理矢理交尾させられて挙句清人に見られたのが苦で死んだんだっけ? 難儀だよね人間って。そんな事、僕たち野良だったら結構あるあるなんだけど。それを苦にして自殺する野良なんて一匹もいないんじゃないかな?」


 嘲るように言うクロエ横を銃弾が通過する。


「なぁ、一回意にそぐわない相手と交尾して、そんでそれ見られた程度で絶望するようなものがテメェの愛なのか? 恋なのか? 本当、君は愚かしくて愚かしくて……」


「黙りなさい」


「反吐が出るね」


「黙りなさいッッ!!」


 再度ジョウキキカンを利用した銃がジョウキを吹き上げながら弾丸を吐き出す。


「はぁ、学ばないね。無意味。無駄。全然スマートじゃない。幾ら狙いを定めても俺っちには当たらない。わかってるでしょ。俺っちには当てられない。だって当てる事を深層心理で拒んでるんだもの」


 吐き出された弾丸は『色欲』の遥か後方に着弾する。

 これが『色欲』が最弱であっても生存能力最強と言われる所以。


「『愛玩』。人によっては『傾国』って呼ぶ人もいるけど、まぁそれが俺っちの持つ唯一の能力さ。その能力は敵意の操作」


 誰もが彼を愛する。故に彼は誰からも真に敵意を抱かれない。それこそ強烈な敵意を抱く唯ですら一発の銃弾をまともに当てられない程に。


「ハッ!? 唯ちゃん!? こんな可愛い子に何をやっちゃってるのかなぁ!?」


「む、しまった。私とした事が惚けていたようだ。……して唯、お前のその銃はどう言った了見だ」


「っと、せやな。そげな物騒なモノを少年に向けるべきやないな」


「……っ、洗脳!!」


「違うよ。彼らはただ『いたいけな美少年に拳銃を向ける君を咎めている』だけだ」


 ジャックが、アニが、凩が、篝がクロエを守るように唯を取り囲む。


「私だけが敵役ってワケ」


 仮に怒りで弾丸をもう一度放とうとしようものならばきっと全員が敵に回るだろう。

 余りにも最悪な状況にギリと歯を強く噛み締める。


「俺っちは奥方とご友人を傷付けない。けど、結果的にテメェが傷付ける事になるかもね?」

『色欲』クロエ

能力は『愛玩』。敵にならない、作らない能力。もし無理矢理敵対しようものなら即席の親衛隊にリンチにされる。

唯の『嫉妬』の精神操作を『非敵対』に特化して条件や制約を無制限にした能力みたいなもの。可愛いは大正義。


総括

地球組は全員不幸。


クロエの言は相当アレですがそこは価値観の違いと言う事で。

ただ唯の行動は確実に清人を破滅に追い込んでいますし、クロエの心情的には絶対に許せない訳です。

大体ニャルと唯の父親が悪い(断定)

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