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Last stardust【1】

遂に新キャラ()『色欲』が登場しまっせ!

 先程起きた諸々の事を仲間に伝えるとその場の雰囲気は少し渋い感じになってしまった。まぁ清人の立場がどっちつかずでフラフラしていた状態から一転して明確に敵対となったのだからそれも仕方ない事なのかもしれないのだけれど。


「……」


「どうしたんだ、唯」


「ニャルラトホテプの情報と、清人の察したニャルラトホテプの倒し方、それと今回のスタンス替えは連動していると見た方が自然よね。と言う事はニャルラトホテプを倒すには……いえ、ニャルラトホテプを倒す際に清人にとって不都合な事が起きると、そう見るのが妥当よね」


「……そうなるな」


 唯が敢えて含みのある言い方をするのは、その不都合が俺に降り掛かると思っているからだろう。

 これは清人の人間性から逆算して考えれば簡単な推論だ。分かりやすいように時系列で並べると……。

 先ず、先日の清人は『選択する事で生まれる犠牲を俺に背負わせたくない』として選択させないようにした。

 そして今日は『答え』とやらを察したせいか両方を救える可能性を認知しながらそれでも尚止めてきた。

 ……こんな感じか。

 三つの世界が犠牲にならず俺は重責を負わない最良の選択があると知りながらそれすら止める。となると『答え』って奴がどうにも胡散臭い。

 例えば……世界が犠牲にならなくてもニャルラトホテプを倒す過程で誰かが死ぬのではないか。そして清人が積極的に止めると言う事は……『答え』の内容が俺の死亡ないしそれに類するものである可能性が、高い。

 そう考えると辻褄は合う。だけど清人は何処でそれを察した? 何処にヒントがあった?


 そんな事を考えていると、不意にほっぺをムニィと摘まれた。爪こそ立てられてはいないが力が強くて地味に痛い。


「あ、あにふぁん? 何をふぃて」


「眉根、寄ってる。考え過ぎの兆候。推論は大事。けど、それはあくまでも推論だから。悩むよりも、本人に問いただす方が確実」


「……だな」


 メタ読み結構。だがメタ読みで臆病になって動けないようじゃ本末転倒だ。


「皆んな、今晩大森林に移動して清人と打つかるぞ」


 俺は強欲な性質だ。だから多くを望んでしまう。情報も清人もオルクィンジェも、そして誰もが幸せなハッピーエンドも。俺はその全てが欲しい。



♪ ♪ ♪



 一方、叶人と逆方向へ歩いて行った清人はそのまま大森林に到着していた。これはその地点から大森林の移動距離が短かった訳ではなく単純な速度とスタミナによるゴリ押しだったりする。

 清人は死して尚も動き続ける哀れな『死体ドール』でありスタミナの概念は最早無いに等しい。そして取り込んだオルクィンジェのエネルギーのリソースを一時的に脚に割く事で敏捷性をも底上げした結果がこれだ。その単純な速度は清人を軽く上回る。

 ただ、そうは言えど元は清人。

 早過ぎる速度故に足下の段差を見逃し、そのまま魚雷の如き腹滑りを見せながら転倒していたりする。力はあれどコントロールが出来ない。加減する技術が無い。

 近接戦闘では無類の強さを誇るとは言えこの様では叶人を一回り程上回る程度、という評価が精々か。他の面子を引き連れて来られたら確実に敗北する。そうなれば最悪な結末を迎える可能性は……高い。


 清人は一人で立ち上がろうとして、自分に手を差し伸べられている事に気が付いた。

 そしてその袖が自分の着ている黒い『デイブレイク』構成員専用のローブである事も。

 一応は同じ組織の人員だと思いその手を取ろうとして――。


()()()()()ご主人、俺っちの力は必要かい?」


「っ!?」


 それはオルクィンジェのものと似た、変声期前の少年のソプラノだった。そして清人はその声の主を良く知っている。

 『憤怒』のニャルラトホテプ、『怠惰』のエクエス、『傲慢』のテテ、『暴食』の杉原清人、清人ですら名前を知らぬ『強欲』、デイブレイクを脱隊した『嫉妬』高嶋唯。

 ――そして『色欲』。

 それこそが眼前のこの少年の正体だ。


「……力を、貸してくれるのか?」


「まぁね。俺っちは何やかんや情を大切にするタイプだからね『色欲』だけに。最後に殺されたとは言え育てて貰った恩義はあるからある程度は力を貸すさ」


 清人が『色欲』の手をおずおずと握ると『色欲』はニッと笑顔を浮かべた。物騒な言葉とは正反対の裏表も打算もない、純粋な笑みを。


「それに……良い顔付きになってたからね。応援の一つもしたくなるってものだよ。勿論『色欲』のクロエとしてじゃなくて君のかつての盟友――」



「『クロ』として……にゃ」


 『色欲』の徒クロエ。

 その正体は杉原清人の親友であった黒猫のクロが転生した姿である。


「……助かる。でも、叶人の仲間の足止め、出来るのか?」


 『色欲』は強者揃いの『六陽』の中でも単身での戦闘能力は間違いなく最弱と言うのは有名な話だ。そこを危惧して清人は言ったのだが――。


「あぁ、やっぱりそっちばっかり有名になっちゃってるのか。安心してよ。俺っちは任務に失敗しても絶対に死なないのが取り柄だからさ。……それに、個人的にちょっとやらないといけない事があったからね」


 クロエはどんな強敵を相手にしても死なない。戦闘能力最弱にして、異端の生存能力最強。


「それは心強い」


 かつて殺した相手の助力を願う。一般的に考えたらまず考えられないような厚顔無恥の極み。しかし清人はそう口にしていた。

 それは偏に何振り構ってはいられないから。形に拘れる程の余裕が無いから。そして何より――叶人を止められなくなる可能性が高くなるから。


 ――『想定する最低最悪を回避する為ならば恥も外聞も度外視する』。


 奇しくもその姿勢は杉原叶人と同じものとなっていた。


「……行こうか。大森林へ」


「了解さっ!」


 斯くして不死と少年は決戦が起こるであろう場所へと向かう。


 自ら死出の旅に身を投じる悲劇の旅団を終わらせる為に。


「俺が絶対に止めて()()()

現在判明している『六陽』と能力一覧。


『憤怒』ニャルラトホテプ

能力:???

『傲慢』テテ

能力:模倣

『暴食』杉原清人

能力:咀嚼・消化

『色欲』クロエ

能力:???

元『嫉妬』高嶋唯

能力:精神操作

『怠惰』エクエス

能力:???

『強欲』???

能力:???



奇しくも同じ構え!!

まぁ清人が叶人を生み出したのだからある程度行くとこまで行くと清人が叶人化する。


次回からは遂に清人編ラストバトルの開始です!!

生存能力最強の『色欲』クロエの能力とは!?

そして叶人と清人は一体どうなってしまうのか!?

乞うご期待っす!!

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