Blessing?【2】
自分が意図せずガンガン死亡フラグを建設していた事に気付いた俺は先ず青褪めた。
だってそうだろう。俺は現在純粋な戦闘能力で見れば間違いなくこの旅団の最下位に位置するのだから。
さて、唐突だが 俺の現在のスペックについて話そう。
現在の俺のステータスはこんな感じだ。
我ながらステータスの上昇の偏りが酷いと思う。前回と比べると上がり幅の格差が一目瞭然。……本当に大丈夫なのだろうか、これ。まぁ肉盾が仕事な俺としては敏捷が高くて、順当なパラメータだとは思うが。
そしてお次はスキル。こちらもレベルが上がっているだけと思いきやところがぎっちょん、いつの間にやら六つにまで増えていた。
『第一魔素の素養』Lv10
『第二魔素の素養』Lv2
『第四魔素の素養』Lv0
『加速』Lv10
『災禍の隻腕』Lv–
『邪神の残り香』Lv-
増えたのは素養系統のスキル群だ。本来ならスクロールでしかスキルは取得出来ないらしいがどうやら素養系統のスキルはその限りでは無いらしい。
「ただ、増えたの『欠片』由来のスキルなんだよな……」
二つ目の『欠片』を手に入れて以来第二魔素の行使が可能となった事から分かる通り『欠片』を得るとその色に対応した魔素の素養スキルが解禁される。それは裏返せば『暴食』が残りの『第三魔素』をも使って来ると言う事にも繋がる。
単純にスキルが増えて取れる手段が増えたと思えば喜ばしいが、敵も同様であるならあまり喜んではいられない。
ただ『加速』の練度がカンストしているのは素直に喜ばしいか――。
「んんっ?」
変な声が出た。しかしそれも無理なからぬ事だろう。
『邪神の残り香』のフレーバーテキストが変わっていたのだから。
『一人の少年の願いより生まれ出た悲劇は漸く此処に結実を遂げる。邪神の名の下に宣言す。選択の刻来たれり。別離の時来たれり。悲嘆の時来たれり』
「……アルスノヴァかな?」
ネタ混じりにそう言ってみるが額は微かに汗が滲んでいた。
確か前は……そう、『選択の日は遠くない』、だった筈だ。それがどうだろう。時が来ちゃっている。それに邪神の名の下に宣言とまで言われているではないか。一体これから何が待っているのかと背筋が冷たくなる。
『ただ――貴方が『暴食』の真実を知って尚戦いを選択するとは思えないからそう言った。それまでです』
不意にあの時の会話が脳内に蘇る。俺が戦いを拒むような『暴食』の真実。それは何なのか。
想定する最悪中の最悪を想定し――首を横に振る。
「いや、流石にそれは無いか」
それよりも現状の把握が優先だと思考を切り替える。
けれど最悪な想定が案外真実なような気がして、どうにもその後のことは気もそぞろになった。
♪ ♪ ♪
「結局、どうすれば現状よりマシになるんだか」
現状を確認してからはや二十分が経過し、それでも尚改善案が浮かばない事に頭を抱える。
やはりオルクィンジェとスイッチ出来なくなったのが痛過ぎる。オルクィンジェの攻撃力は俺の肉体を使っていたとしても凩と並べる程度に強い。それが無いとなるといよいよ俺は肉盾しかやる事が無い。が、肉盾をすれば死ぬ可能性が高くなる。俺が死ねばそれはアニの死に直結する。それだけは何としても避けなければならない。
別に最強を目指さないといけない訳では無い。ただ、大切な人を守れる程の強さが欲しいのだ。
「となると……武器か」
現在使っている杖は流石に奴隷商の品と言うべきか物自体はかなり良い。だが、やはり『暴食』相手にどこまで通用するか分からない。それに男なら誰しも自分だけの最強の武器を持ちたいと思うのは当然だろう。あれだ。十秒ごとに「ブースト」という掛け声とともに力が倍化する矢鱈うるさい赤い籠手が自分にも欲しいと思った男児は多いのではなかろうか。
「喋る武器、喋る武器なぁ」
……ん? 喋る武器?
突飛なアイデアが頭に浮かんだ。
それで強くなるかは分からない。それが出来るのかも分からない。だが、もしそれが出来てしまったら――。
『……相変わらず妙な所に目を付けたものだな。感心すべきか呆れるべきか微妙なところだが、やる価値はあるか』
シンクロ。それは魂の共鳴。
であるならば、可能な筈だ。
「一丁『職人』、目指すっきゃねぇなぁ!!」
刮目しろ『暴食』。俺のオタ知識が火を噴くぞ。
もう既にルート分岐は過ぎてるんですよねぇこれが。
因みに現在の主人公のステは最強形態の一歩手前、言うなればジャックフォームです。
ここからもう一段階上がったところが主人公の最強形態です。
ただ、この作品に於いて主人公の最強形態=最強と言う訳では無いのでご了承下さいまし。




