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Handout【A summer of retrospect】

この話は非常に読みにくくなっております。

ですが飽くまで仕様ですので主語が無い点には目を瞑って訳が分からない感じをお楽しみいただければ幸いです。


読めば分かりますがこの話はA tragic summer experienceの一話とかなり繋がっています。


併せてどうぞ……。

 暑い、暑い、夏の日だった。


 小学校は夏休みで、学校の近所の公園には沢山の子供たちがはしゃいでいた。

 だけれど、それには混ざる事は出来ない。

 つい昨日引っ越しが終わって友人もいなければ何処に何があるのかも分からないのだ。友達同士で遊ぶ彼らを妨げるのが怖くて木陰のベンチで足をぶらぶらとして拗ねたように時間を潰した。


 そんな時だった。

 陽の射す公園で立ち尽くす女の子を見つけたのは。


 その女の子はずっと眩しそうに空を見上げていた。

 まるで地上には見る物が無いみたいにしていたのが不思議で……つい声を掛けた。

 そう、声を掛けてしまった。それが、破滅へ繋がる一本道への入り口だとも気付かないまま、どこまでも純粋に、無垢に。


『何を見てるの?』


『空。だって綺麗じゃない』


 栗色の髪がふわりと靡いて、焦げ茶色のアーモンド形の瞳が露わになった。その顔は一生…今でも忘れた事はない。本当に――綺麗だ(憎たらしい)と思った。

 これが■■■との出会いだった。


 ■は不思議な女の子だった。

 小学校ではツンケンした態度で浮いていたし、時折怖い顔をしていたから友達もいない。

 だけど……転校したばかりで友達が居なかったから       (よせば良いのに)同じようにひとりぼっちの■と過ごした。


 そうなると、女の子とばかり遊ぶのだと吹聴されて男友達が出来なくなった。そして女の子も■を気味悪がって近付かない。

 友達を作る機会は最早完全に失われて、代わりに■と俺だけの酷く閉鎖的な世界が始まった。


 学校が終わるといつも図書館で■と一緒に本を読んでは取り留めのない(心底くだらない)話をした。

■と一緒にいる時間はとても心地よく(気持ち悪く)て、こんな時間がずっと(さっさと)続けば(終われば)良いのにと思った。


 なのに、幸せは終わった。

 実に呆気なく。


『私のこと……好き?』


 その言葉がずっと頭から離れない。

 その言葉を思い出すと狂いそうになる。

 愛しい(恋しい)寂しい(憎い)苦しい(愛おしい)。もう何が何だか分からなくなってくる。思考がぐちゃぐちゃになって、視界が目まぐるしく移り変わっていく。


『宿主は思い出すのが怖いのか? 臆病者め。もう認めたらどうなんだ?』


 夏の日、差し伸べられた手、弱弱しく鳴いた黒猫。


「認める…?」


『そうだ、認めてしまえば楽になる』


 記憶が混濁して、輪郭がはっきりしないような妙な感じがする。

 何か大切な事を忘れているような、そんな感じ。


『確かに思い出さないのは幸せなんだろうな。けど、それでお前は生きれるのか?』



『なあ、答えろよ。お前は何者なんだ?』

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