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暁の空 其の参

作者: 大上

ついこの間新聞を読んだ


日本の合計特殊出生率が1.4を下回ったらしい


いまいちピンとこなかったが


次の文に衝撃を受けた


このままの進捗率だと


西暦3000年には


日本人は僅か50人程度らしい


とんでもない速度だと


我輩は思うよ


たけき者も遂にはほろびぬ、とは良く言ったもので


1億3000万を誇った栄華も


一人また一人と消えて逝くのか


まさに春の世の夢の様だ



我輩は今生きている


このままゆけば精々100年ほどか


そのあたりで先人たちの跡を追うだろう


子供も初老に差し掛かり


孫の成長を見守りながら


ひ孫を一目見たいと願いながら


我輩はゆく事になるかもしれない


ひ孫を見ずに死のうが


何処かから子々孫々の繁栄を


切に思い過ごすかもしれない


そこで、だ


せいぜい4、5代


ひいじいひいばあひ孫玄孫


意思を通じ愛し合うのは想像に容易い


しかしそれより離れた血縁者まで


何故気にかけるのか


赤の他人とは言わぬまでも


共有した時間は無である


しかし自問してみると


それを望む自我がある


わからない


解決法として最も分かりやすいのは


合った事もない我輩の御先祖様たちに


聞いてみること


解っている


そんな事はきっとできない


出来たら楽なのになぁ


ちょっと御先祖様


我輩が大事かい?


我輩が存在することをどう考える?


聞きたいなぁ



そういえば


家は一度家を立て替えたのだけれども


昔の家のことをかなり覚えている


じいさんから聞いたのだが


其の家には過去にひいじいとひいばあも暮らしていたらしい


とても不思議な気持ちになる


見知ったちゃぶ台に合ったことのない人が座り


廊下のタンスをあけ


良く昼寝をした畳を歩き


生活をした


確かにそれは起こったのだろう


それがあの家の歴史


我輩は半分も知らぬ


自分の現在の家族の家だと認識した子供時代は


愚かにもその一部しか理解していなかった


馬鹿馬鹿しい限りだ


我輩などたった10年ほど過ごしただけだ


それを我が物顔で振る舞う


滑稽な糞ガキだと


家は考えていたに違いない


面白い視点だろう


万物にも意志があると仮定すると


別の次元が見えてくる



逸れる話はご愛嬌


ただ想い感じた浮き世


絶えず、緩やかに


されど確実に移り変わる現実は


さながら初春の暁の空の様だなぁ



以上

ありがとう







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