横浜シティーナイト3
ユーロビートが響く、うす暗いキャバクラの店内。
美紅の瞳が輝いている。
思わず、幸一郎は、美紅の女の色気に、誘われ
るように、欲情し、身体に手を触れたいようなぁ。
いやいやキスから、と思ったが…
幸一郎は、渋く
『俺は、惚れた女としか、H。しないんだぞ』
つい恋愛マニュアルのように言った。
美紅は、ボクサーのストレートパンチをかわすよう
に、こう言った。
『うそ。そうやって口説いてるんでしょう。う~ん。まだ
そんな古風なひといるのかな?』
幸一郎は、美紅のピンクのテカテカ唇をみて、
『ここに、いるじゃん…。てへへ』
酔うがままに、現実から逃げだしたくなる、幸一郎だ。
悔し涙が、ぽろぽろ溢れだした。
(俺は、何をやってんだろう。一度きりの人生、スピードに
かけるんじゃなかったか!)
それを、目の当たりにした美紅は、2時間くらいキャバクラ
にいたが
『お客さん、この後、二人で飲みませんか』
と幸一郎と美紅は、ビルをエレベターで昇ってゆく。
するとアロマが匂いがした。横浜の夜景が見えてる。そして
ブルーの店内。ひげの生えたマスターは、カウンターの席に
案内し
『あ~美紅ちゃん、久しぶり。こちらの男性は、彼氏?』
『この人、外見は、悪そうでも、本当は悪なの』
と美紅は、おどけた表情で言った。
幸一郎は、タバコをパカパカ吹かしてる。ふと思うのである。
(俺もすっかり、都会人になったんだなぁ)
『いつも、こうして男を誘ってんのか?』
美紅は、キャバクラの時の派手なドレスじゃなく、白いシルク
のシャツに、リーバイスのジーンズに、スニーカー。
『私ね、夢を食う、都会が、嫌になったの。だって私は、歌手に
なりかったのに、今じゃ酔っ払いの相手ばかり…』
とグラスの、カシスオレンジを一気に飲んだ。さらに
『あなたと私と、同じ匂いと感じたわ。この商売やってると、分かる
んだ』
幸一郎は、
『歌手に!』
『ええ。そうよ。地元じゃカラオケ大会のあらしだったんだよ』
ストレスを発散されるように美紅は、喋ってる。
幸一郎も、バーボンソーダを飲みながら酔っていく。
と、何故か美紅の瞳は、横浜の夜は、これからと、いわんばかり
輝いてゆく。。。