幻晶騎士基本設定
●金属内格
文字通り、金属製の巨大な骨格。
現在の鍛冶技術では10m級の人型の骨格をそのまま作ることはできないため、小さな金属部品の組み合わせにより作られる。
本来ならばそのような部品の寄せ集めでは十分な強度が出せないが、幻晶騎士は基本機能として全身に強化魔法を適用することで自身を成り立たせている。
それが幻晶騎士に見た目以上の耐久性を与えることになるが、反面何らかの異常で強化魔法が途絶した場合、自重に耐えることができず自壊する危険性を孕んでいる。
●結晶筋肉
魔法現象を発生させるための触媒結晶を、錬金術によって加工したもの。
特定の魔法の作用で形状を変える性質を見せ、それを応用して魔法により伸縮する素材、幻晶騎士を動かす筋肉として利用される。
また内部に魔力を溜める性質を持ち、幻晶騎士の魔力はここに溜められている。溜めた魔力の総量は魔力貯蓄量と呼ばれる。
エルネスティの発案により出力・耐久性の向上した綱型結晶筋肉として利用する方法が編み出される。
後に生成過程を変更することにより、変形しづらいが魔力をより多く溜めることのできる結晶魔池が開発される。
●外装
幻晶騎士の鎧にあたる部分。単に鎧と呼ばれることも多い。
金属製の単純な装甲であり、これも技術的な問題から小さな部品の寄せ集めである。
装甲には内部保護のための1次装甲と防御力を決定する2次装甲があるが、外装と呼ばれるのは2次装甲のほうである。
後に蓄魔力式装甲が開発されるなど、いくらかの進化を遂げる。
└●蓄魔力式装甲
エルネスティの発案による新型機の燃費の悪さをカバーするために考え出された、装甲と結晶筋肉が一体化したもの。
魔力貯蓄量の底上げを目的としているため、結晶筋肉は動かない。
最初期型は装甲の裏地に結晶筋肉を設置しただけのものだが、後に結晶魔池が専用に加工されて接続されるようになり、魔力貯蓄量の大幅な増大を実現した。
カルディトーレ以降の幻晶騎士ではほぼ標準的に実装される。
●魔力転換炉
生物の心臓が持つ、エーテルを魔力に変換する機能を再現した魔導装置。幻晶騎士の動力炉であり、無限に魔力を生成し続ける半永久機関である。
しかし強大な魔導兵器である幻晶騎士を動かすためには莫大な魔力が必要であり、動かし続けると魔力切れを起こしてしまう。
変換の核となるのは触媒結晶であるが、通常とは逆の変換を起こすためには生物の血液と特殊な魔法術式が必要。
本体は錬金術で生成された擬似血液“血液晶”と特殊術式“生命の詩”を保持する精霊銀の容器にて構成される。
一抱えほどの卵型の形状をしている。精霊銀製の容器が極めて頑丈であるためこの本体は容易には破壊できない。
存在するだけで魔力を垂れ流しにする装置だが、幻晶騎士に搭載される際は大気の流量を調節する吸排気機構と組み合わせて構成される。
炉が破壊されたという場合は大抵この吸排気機構が破損し、正常に吸排気が行われなくなった状態を指す。
内部の触媒結晶を大型化、もしくは魔獣の体内から採れた触媒結晶を使うことで出力を上げることが出来る。その代償として多大な調整を必要とし、生産コストは跳ね上がる。
エルネスティは自ら討ち取った陸皇亀の触媒結晶を用いて常識外の大型炉“皇之心臓”を建造する。
●魔導演算機
内部に錬金術で加工された液晶質の触媒結晶が封入されている。
それは結晶筋肉とは異なり魔力の代わりに魔法術式を保持する性質を持っており、それを利用して幻晶騎士を制御するための装置として利用されている。
魔力転換炉ほどではないが高価な部品である。
保持できる術式の量は大きさと比例するため、術式の規模の小さい幻晶甲冑向けに小型化されたものが開発された。
内部の術式は構文技師と呼ばれる人々が調整を行っている。
内部に保持する術式の規模が巨大であるため、通常は複数の人数で部分ごとに担当して調整を行うものだが、エルネスティは常識外れの処理能力により一人で中身を完全解析、変更まで行っていた。
●眼球水晶
幻晶騎士の目の役割を果たす水晶球。幻晶騎士の頭部は実質これを設置し、保護するためだけの部位である。
それほど耐久性のある部品ではないので、保護のために面覆いを被せるのが一般的。
純粋な生物ではないため瞼は存在せず、非稼働状態では単に幻像投影機との接続が切れているだけである。
└●幻像投影機
幻晶騎士の胸部装甲の裏側に設定されている映像機器。眼球水晶の捉えた視界を表示するための装置である。
幻晶騎士の唯一の視覚装置であり、眼球水晶、またはこれが破壊されると外の様子がわからなくなる。
対策として装甲の隙間から外を覗ける穴があるのだが、防御上の問題からきわめて狭く小さく作られており実戦ではほとんど役に立たないと評判であった。
●銀線神経
非常に魔力を通し易い金属である“銀”を線状に加工したもの。その性質を利用して、魔力にのせた魔法術式を伝達する素材として利用される。
主な使い道は杖と触媒結晶の接続、幻晶騎士の神経など。銀線神経の名は後者に由来する。
●魔導兵装
内部に紋章術式の刻まれた銀板を格納した幻晶騎士用の魔導武装。
幻晶騎士は仕組み上、任意の魔法を構築することが出来ないため、こういった外付け武装により遠距離魔法を行使する。
戦術級魔法と呼ばれる大規模な魔法を実現するため、かなりの量の銀板を格納しており構造的に脆い部分がある。
1つの魔導兵装につき1種類の魔法しか使えない。その代わり魔力さえ流せば発動するため演算の負担にならず、使い勝手はいい。
●追加装備
背面武装、可動式追加装甲といった外部接続式の装備の総称。
カルディトーレ以降の幻晶騎士には装備接続のための接続部位が多数設置され、状況ごとの柔軟な装備変更を実現している。
└●背面武装
補助腕と呼ばれる機能の単純化した小型の腕で構成されており、魔導兵装をつかんで構えるだけのものである。
両腕を自由にしながら魔導兵装を使えるという効果しか持たないが、それだけでも劇的な戦闘能力の向上につながった。
初期は“腕”を増やすという考え方から受け入れられなかったが、広まり始めるとすぐに当たり前のものになる。
魔導演算機に保持される火器管制システムと連動しており、騎操士に負担をかけない方法で動かすことが出来る。
└●可動式追加装甲
補助腕を装甲の接続に用いた防御用装備。装甲自体が様々な方向に動き死角を持たない。強度に劣る分は強化魔法を追加で発動させることで底上げを行っている。
ただし、その分だけ魔力の消費が激しくなるため乱用は禁物である。
人馬型幻晶騎士ツェンドルグでは、可動式の装甲を機動時のカウンターウェイトとしても機能させるなど、独特の運用を行っていた。
●紋章式認証機構
ある紋章術式を鋳込んだ銀板と、本体である装置にて構成される。銀板と本体内の紋章術式が合致すると魔力が流れ機構が動く仕組みになっており、それを利用して幻晶騎士の“鍵”の役割を果たす。
初期のころにデザイン性の観点から銀板を“銀の短剣”の形状に加工したところ、それがそのまま広まり、後年ではそれが騎操士の象徴的なアイテムとなった。
厳重に固定して腰につけた銀の短剣は人類史上最強の兵器・幻晶騎士に乗ることを許された証であり、それは彼らにとっての誇りでもあった。
●騎操士
幻晶騎士の乗り手のこと。
一般的には騎士の中でも特に秀でたものがなれるとされ、いわばエリートである。
だが必要な人数の関係から本当の意味でエリートのみというわけではなく、玉石混合なのはどこも同じであった。
とはいえ専門の戦闘訓練を受け、特に魔法関連の能力を伸ばした彼らはかなりの戦闘能力を有していることが多い。