表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生  作者: 西洋司
第一部「ハルコン少年期」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

91/438

15 民が救われるのなら、それでいい_05

   *         *


「カイルズよ、ジョルナムを泳がせるとは、それは一体どういうことかね?」


 宰相が、率直に疑問を呈してきた。王も父カイルズの顔をじっと見つめ、何と答えるか興味がおありのようだとハルコンは思った。


「私は、隣国コリンドとの窓口を、ジョルナム殿一本に集約させておくのがよろしいのではないかと考えております。その方が監視対象を特定できますし、管理し易いのではないかと」


「ふむ、なるほどな。密貿易の一元化か」


 王と宰相は、カイルズの案が良い手と思われたのか、納得したように頷かれた。


「だがカイルズよ。隣国コリンドに我が国の商品やサービスが流れるのは、マズいのではないか? その点を、どう考えておる?」


 宰相の問いに、カイルズはひとつ頷いた。


「敵国を利するのは、確かに問題です。ですが、隣国コリンドが我がファイルド国と同等の能力と資質に達していない時点で、それは保護対象と見做す必要があるものと思われます」


「カイルズよ、オマエは敵国に利益が流れても構わないと申すか?」


 王ラスキンが率直に訊ねてきた。その声には、幾分怒気が込められていた。


「ファイルド国の戦後復興は、現在順調に達成しつつあると思われます。ですが、一方で隣国コリンドは上手くいっていないと報告を受けております」


 その言葉を受け、宰相は、先程より黙っている女占い師に目を向けた。


「貴殿も、この場で伝えたいことがあるのでは?」


 その問いかけに、彼女はひとつ頷いた。

 王と宰相とカイルズが、女占い師をじっと見た。


「先程より、カイルズ様の仰るとおりです。帝都は貧民で溢れ、社会基盤も貧弱。もとより、衛生環境は最悪の状態と言えましょう」


「「何とっ!?」」


 女占い師の言葉に、王と宰相は目を見張った。


「やはり、報告のとおりだったか」


 カイルズが、仕方なさそうに呟いた。こちらは前もって女盗賊から隣国の情報が齎されているため、さほど響いている様子ではない。


「貨幣価値も下がり、その日の食事にもことを欠く。いつ人々の不満が爆発するかワカらない状況と、私は伺っております」


 女占い師の言葉を聞いて、王と宰相とカイルズは、3人とも深いため息を吐いたまま黙り込んでしまった。

 ここで、会合はしばらく沈黙するのだが、カイルズがこう口にした。


「ならばこそ、隣国が再び暴発しないよう、気付薬を与え続けないといけませんな!」


「カイルズよ、……その気付薬が効かなくなったら、最悪、どうなる?」


 王のその言葉を受け、父カイルズは苦い顔をしてこう告げた。


「隣国が崩壊した場合、我が国に難民が雪崩を打って押し寄せますぞ!」


 その言葉に、王と宰相は顔を真っ青にさせた。

 どうやら、王と宰相は、父カイルズの提唱する妥協案に漸く傾いたようだと、ハルコンは思った。

「天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生」をお読み頂き、ありがとうございます!

ハルコンの薬学チートや、仲間たちとの冒険を楽しんで頂けたら嬉しいです!

この物語を気に入って下さったら、☆評価やブックマークで応援して頂けると、作者の励みになります!

ハルコンと一緒に次の展開を盛り上げるため、ぜひ力を貸してください!

引き続き、毎日更新で頑張りますので、どうぞよろしくお願いいたします!✨

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ