表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/310

02 7枚のチケット_03

   *         *


「あなたがお亡くなりになって、たくさんの人が泣いていましたよ。あなたの人生には、とても意味があった。それはご家族や身の回りの人達だけでなく、全人類にとって、とても掛け替えのないことであったと言えるでしょう」


 女神様の思いやり深い言葉を聞いて、晴子は静かに涙を流した後、再び断言する。


「私は自らの行いに対し、いささかも後悔しておりません!」


「そうですか。なら、来世では例えば中世ヨーロッパのような異世界に移り住んで、現代日本の知識を駆使してチートとなり、悠々自適にスローライフを送りたいなぁんて。そんな気持ちはありませんか?」


「どうでしょう? 私には、スローライフなんて性には合いませんから」


 女神様は、晴子の返事に目を細めて、うんうんと頷いている。


「でしょうね。大体そんなことを思う輩は、現代日本のブラック企業で、雀の涙程の薄給で扱き使われる程度の人物に過ぎませんしね。まぁ反骨心もなく、大して能力の期待できない、間抜けでお人好しな者がほとんどなのですから」


 そう言って、屈託なく笑う女神様。

 晴子は、女神様の背後に、一瞬黒いオーラが浮かび上がったような気がした。


「その点で、晴子さんは大いに異なります。あなたは現代日本でも文字どおりの天才で、人類史に名を残すような実績のある、いわゆるチーターです。なので、来世でもぜひ活躍して欲しいですし、私としても大いに期待しているのです」


「来世って仰いましたけれど、死後の世界は天国か地獄なのでは? もし天国ゆきなら自分の行いが認められたようで嬉しいですし、……仮に地獄なら鬼の獄卒となって、私を死に追いやった輩を永遠に甚振り尽くしてやりますよ」


 晴子はそう言ってから、ヒッヒッヒッと黒いオーラを漂わせながら微笑んだ。


「いいえ、来世には、生前の善悪や道徳によって裁かれる世界はありませんよ。あるのは無数に存在する異なった世界、いわゆる異世界です」


「……、なるほど」


 晴子は女神様の説明に頷いた。

 なら、自分の魂はどこか別の世界にこのまま送られてしまうのだろうか? 


 そう思ったところ、女神様は次のように強調する。


「実は晴子さん。あなたは生前の行いが正しく7人分の活躍であったため、その魂のチケットが7枚もあるのですよ!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ