表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生  作者: 西洋司
第一部「ハルコン少年期」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

57/443

10 ミラ・シルウィット その2_01

 ハルコンとミラの初顔合わせを行った誕生日会から、早くも数日が経過した。

 ミラはハルコンからの直接の招きに応じ、家族を伴わず、単身セイントーク領に向かっていた。


 もちろん、一級剣士がお目付け役で同行しているので、思念を同調させているハルコンは、ミラの様子をそれとなく探ることが可能だ。


 本日彼女の家族が同伴しないのは、あくまで子供同士の遊びのお誘い、……周囲にはそう思わせるためであった。


 シルウィット家の動向は、おそらくロスシルド家が絶えず探っている。ミラがセイントーク家に嫁ぐのは、ロスシルド家としてはどうしても避けたい話だ。

 だから、阻止できるのなら、多少のムリをしてしまいかねない恐れすらあったのだ。


 道中の馬車の中、ミラは本日の面会を何としても成功させようと、終始緊張した面持ちでいた。


「ミラ嬢、……まぁ、そんなに固くなることはない。ハルコン殿はモノのワカった少年だ。いつもどおり素直に明るく接すれば、自ずと仲良くなれるものと断言しよう!」


「はい。善処します、先生」


 護衛兼お目付け役の一級剣士は、ミラにとって畏敬の対象だ。

 ミラは剣士の剣技だけでなく、その物事の捉え方や行いも含めて尊敬しているのだ。


 表向きセイントーク家とシルウィット家両家の親達は、ハルコンとミラの2人には子供らしく、気さくに親睦を深められる機会を用意してくれた。


 今回は、ミラの武術お披露目という名目のため、剣士に任せておけば万事上手くいく。そう両家の親達は考えているのではないかなぁと、ハルコンは思った。


 セイントーク家の屋敷の片隅にある修練場にて、ミラは体術訓練用の軽装服に身を包むと、大きく深呼吸をする。


 彼女の目標は、必ずハルコンと仲良くなること。彼から必要とされること。大切な存在と見做されること。その表情は、いささか硬すぎるキライがあった。


「ミラ嬢、……そう硬くされるな。いつもの柔らかい笑顔を浮かべておれば、何も問題なかろう!」


「先生、そうは仰っても、私は今日この日に賭けております故」


「ふむ、……まぁ、仕方あるまいか」


 シルウィット家は武門の貴族だ。だからこそ、ハルコンを守る盾や鉾となり得る存在だとアピールしたい。

 そういった並々ならぬ強い意志が、ミラの表情に如実に現れていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ