50 帝都での出来事_23
* *
「ルーテア国か? バルコニア国か? それとも、……」
皇帝陛下はそう仰って、近隣国の名前をひととおり挙げなさった。
私としても、本来ならそこは誠実にお伝えすべきところなんだろうけど、……。
「陛下は、もしやサスパニアのことを疑っておられるのでしょうか?」
こちらの問いかけに対し、陛下は苦い表情を浮かべられた。
「断言はできませんが、……」
「実際のところ、どうでしょうね? 我が国の王立療養所に収容されていた患者は、そのサスパニアの隊商のメンバー達でしたよ!」
「ほぅ、……。では、ハルコン殿。貴殿は、まさかサスパニアの上層部が自国民を巻き込んだりはしない、……。そうお考えなのだろうか?」
陛下のお言葉に対し、何と答えるのが正解なのかなぁと思っていると、……。
傍らでお話しを聞かれていたステラ殿下が、こちらを見て、ニコッとお笑いになられた。
実を言うと、私は事の真相を知っている。
新生サスパニアの石原中佐が、王国を滅ぼされたメリッサ元姫殿下の意を汲み、コリンドに報復したという事実だ。
石原中佐らは、近代戦のエキスパートだ。中世ヨーロッパ文明レベルくらいのコリンドなど、簡単に滅亡させることもできたはずだ。
でも、……。あえて、そうはしなかった。
どうやら、私、ハルコン・セイントークと有利に交渉するため、残忍な性質を露にすることを控えたということらしい。
その辺りの話は、石原中佐本人からではなく、その側近の一人だった「半次郎」から、間接的に聞いた話だ。
まぁ、先ず彼女の言ったことで、ほぼ間違いないんだろうなぁとハルコンは思った。
「いえ、陛下……。私は、ただその可能性を示唆したのみです」
「ふむ、そうでしたか……」
「ハルコン殿の見立てでは、……我がコリンドは、今後サスパニアに勝てますかね?」
「私には、ワカりかねます」
「ふむ、……」
実際の話、あの時もし私が薬剤を緊急手配していなかったら、今頃ここコリンドの宮殿は、一体どうなっていたことだろうか?
皇帝陛下やステラ殿下と、こうして話をしたりすることも叶わなかったのではないか。
そう考えると、確かに遺恨は残るのだろうけど、……。
私は、やはりラスキン国王陛下の提唱された「善隣外交」を、ここで強く推すべきなのではないかと、……。
私自身、ラスキン陛下のお考えに強く賛同していることを、コリンド側にもちゃんとお伝えしなければならないと、ハルコンは思った。
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