50 帝都での出来事_21
* *
「ハルコン殿、……。娘がこうして元気でいられるのも、貴殿のおかげだ。本当にありがとう!」
皇帝陛下は半身を乗り出されると、私の手をしっかりと握りなさって、何度も頭をお下げになられた。
「へ、陛下っ! 頭をお上げくださいっ! 私は一研究者として、当然の行いをしたまでですからっ!」
こちらのその言葉に、陛下は私の目をじっと見つめ、ニコリとお笑いになられた。
「だがのぅ、……。あの時、もしハルコン殿のエリクサーが用意されなければ、コリンドは我が代で途絶えていたやもしれぬのだ!」
陛下のそのお言葉に、ステラ殿下も横でうんうんと頷かれなさった。
さて、……。お二方は、こんな遅くに私を呼び出して、一体何をされたいのだろう?
ただ単に、あの時のお礼を伝えたかったのか? それとも、……。
「さて、……。ハルコン殿、時にお訊ねしても構いませんか?」
陛下は、こちらの目の色を探るような表情を浮かべなさった。
「はい。私がお答えできる範囲であれば、……」
「ならば、……。これなのですがね!」
陛下はそう仰ってから、テーブルの上に、小さな金属とガラスで加工された容器をコトリと置いた。
「!?」
まさかっ!? もう既に、コリンドでも事態の真相が把握されていたのか?
それは、先日王都の王立療養所にて、収容患者の一人ハンスが持っていた容器と、全く同一のものだったからだ。
そうだよ。コリンド国内を鳥インフルエンザに感染させることが目的で、サスパニアの石原中佐さん達が使用した容器が、まさにこれだったんだよね。
実は、先日のファイルド国王ラスキン陛下との打ち合わせで、鳥インフルエンザのことを、絶対コリンドの宮殿には悟らせるなと言われていたんだ。
さて、……。どうしようか?
ラスキン陛下のお言葉どおり、この場でしらばっくれるのもひとつの手だ。
でも、コリンドの皇帝陛下は、ご自身のお立場を顧みず、とても丁寧な態度でこちらにお訊ねになられたのだ。
宮殿の役人達の多くが、いまだに大国意識を引きずっていてさ、……。自分自身がステルス攻撃に晒されたことすら、ちゃんと把握し切れていない中、……。
皇帝陛下だけは私に対し、事態の核心に迫った質問を、こうしてされてこられたのだ。
「以前、……。ファイルド国内の王立療養所にて、同一の物を見たことがあります」
ホンと、……。これだけ答えるので、もう精一杯だとハルコンは思った。
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