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天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生  作者: 西洋司
第二部「ハルコン青年期」

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510/524

50 帝都での出来事_21

   *         *


「ハルコン殿、……。娘がこうして元気でいられるのも、貴殿のおかげだ。本当にありがとう!」


 皇帝陛下は半身を乗り出されると、ハルコンの手をしっかりと握りなさって、何度も頭をお下げになられた。


「へ、陛下っ! 頭をお上げくださいっ! 私は一研究者として、当然のおこないをしたまでですからっ!」


 こちらのその言葉に、陛下は私の目をじっと見つめ、ニコリとお笑いになられた。


「だがのぅ、……。あの時、もしハルコン殿のエリクサーが用意されなければ、コリンドは我が代で途絶えていたやもしれぬのだ!」


 陛下のそのお言葉に、ステラ殿下も横でうんうんと頷かれなさった。


 さて、……。お二方は、こんな遅くに私を呼び出して、一体何をされたいのだろう?

 ただ単に、あの時のお礼を伝えたかったのか? それとも、……。


「さて、……。ハルコン殿、時にお訊ねしても構いませんか?」


 陛下は、こちらの目の色を探るような表情を浮かべなさった。


「はい。私がお答えできる範囲であれば、……」


「ならば、……。これなのですがね!」


 陛下はそう仰ってから、テーブルの上に、小さな金属とガラスで加工された容器をコトリと置いた。


「!?」


 まさかっ!? もう既に、コリンドでも事態の真相が把握されていたのか?

 それは、先日王都の王立療養所にて、収容患者の一人ハンスが持っていた容器と、全く同一のものだったからだ。


 そうだよ。コリンド国内を鳥インフルエンザに感染させることが目的で、サスパニアの石原中佐さん達が使用した容器が、まさにこれだったんだよね。


 実は、先日のファイルド国王ラスキン陛下との打ち合わせで、鳥インフルエンザのことを、絶対コリンドの宮殿には悟らせるなと言われていたんだ。


 さて、……。どうしようか? 

 ラスキン陛下のお言葉どおり、この場でしらばっくれるのもひとつの手だ。


 でも、コリンドの皇帝陛下は、ご自身のお立場をかえりみず、とても丁寧な態度でこちらにお訊ねになられたのだ。


 宮殿の役人達の多くが、いまだに大国意識を引きずっていてさ、……。自分自身がステルス攻撃にさらされたことすら、ちゃんと把握し切れていない中、……。


 皇帝陛下だけは私に対し、事態の核心に迫った質問を、こうしてされてこられたのだ。


「以前、……。ファイルド国内の王立療養所にて、同一の物を見たことがあります」


 ホンと、……。これだけ答えるので、もう精一杯だとハルコンは思った。

「天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生」をお読み頂き、ありがとうございます!

ハルコンの薬学チートや、仲間たちとの冒険を楽しんで頂けたら嬉しいです!

この物語を気に入って下さったら、☆評価やブックマークで応援して頂けると、作者の励みになります!

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