50 帝都での出来事_20
* *
「はい、どうぞ! ハルコン殿、お父様!」
ニッコリとした笑顔で、ステラ殿下が湯気の立った茶器をこちらに寄こしてこられた。
えっ!? えぇっ!? ステラ殿下、そこは皇帝陛下が先でしょぉーっ!?
「で、殿下! そういったお戯れは、正直、対応に困りますっ!」
慌てつつも、とりあえず私は、差し出された茶器をそのまま受け取った。
すると、……。ステラ殿下はフフッとお笑いになった後で、……。
「はいっ、お父様!」
「おぉ、すまんな、ステラ!」
皇帝陛下はさも当然のように、こちらの次に白い陶器の茶器を殿下から受け取りなさった。
「ほぅ、如何に万能なハルコン殿でも、こうして手順を狂わされると、戸惑うこともおありのようですかな?」
笑顔のステラ殿下に、皇帝陛下もまた悪戯っぽくニヤリとお笑いになられた。
「もぉ~う、そういうの、勘弁して下さいよぉ!」
こちらがどうしていいか対応に困ってしまうのをご覧になって、目の前の親子はしてやったりといった表情におなりになった。
まぁ、……仕方ないと思いつつ茶器に口を触れると、……。殿下が程よい温度で入れているためか、苦みも出過ぎず、とてもいい塩梅だった。
「……、美味しいです」
「良かったぁ!」
さすがはステラ殿下だと、こちらが思わず感心すると、……。
殿下もまた喜んで下さった。
そして、3人で茶を飲み始めて漸く落ち着いてきた頃に、……。
「さて、……と。今晩ハルコン殿にお越し頂いたのは、こうして一度サシで話し合いがしたかったからなのだが、……。構わなかったですかね?」
陛下はそう仰ると、おもむろに話を切り出してこられた。
それにしても、……。
私の目の前には、かつての大国コリンドの皇帝陛下がおられて、こうして会談の席をご用意なさって下さった。
しかも、ファイルド国の一貴族に過ぎない私を相手に、とても破格な対応を、陛下ご自身がお取りになられている。
なら、こちらもちゃんとその真意を伺っておかないとマズいだろうなぁ、……。
そう、ハルコンは思った。
「陛下、……。恐れながら、昼間は私のことを『卿』とお呼びになられていたようでしたが、……」
「ほぅ。おイヤだったかね、ハルコン『殿』?」
「い、いいえ、そんなワケではっ!」
すると、傍らで話を聞いてなさったステラ殿下が、「ふふっ」と鼻でお笑いになられた。
「お父様、……。ホンとハルコン殿は、おかわいい方ですわね?」
娘の言葉に、皇帝陛下は「あぁ、全くだ!」と仰って、ニヤリとお笑いになられた。
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