50 帝都での出来事_17
* *
「えぇ、すみません」
私がそう言ってその小さなメモを受け取ると、ホールの係の者はニコリと会釈をしてから、その場を離れていった。
さっそく、ミラが横から指でこちらの肩をトントンと叩いてくる。
ちらりと見ると、「どなたから、ハルコン?」と、その目は大いに語っていて、……。
こちらも軽く首を横に振って応じると、ミラは小さくひとつ頷いてから、それっきり黙ってしまった。
さすがは長い付き合いのある、幼馴染なだけある。こちらの今の態度ひとつで、メモを寄こした相手が相当な大物だと察してくれたのだから、……。
こくりとひとつ頷くと、再びその紙片に目をやった。
二つ折りのメモを開くと、……。
『夜四つ(22時頃)に、非公式ながら、面談を行いたし、……』
そして、最後にコリンド皇帝陛下のファーストネームが記されていた。
ちらりと壇上の椅子にお座りになる陛下を見ると、旅団の役人達が順番に並んで拝謁しているところだった。
ふと、……。横からの視線を感じた。メモを折りたたんで懐にしまうと、傍らに立つミラを見た。
すると、彼女は無言のまま、お好み焼きを洋風にした粉モノを食べているところだった。
「あれっ!? 何それっ、お好み焼きじゃん!?」
思わず、つい言葉が漏れると。
「これって、現地じゃハルコン焼きっていうらしいよ!」
「何それっ!?」
すると、ミラが向こうの料理のシマの方をついっと見るので、つられて見たところ、……。
貴族の女子達が数人集まって、皆で楽しそうにクレープを食べていた。
「クレープだね!」
「うん。コリンドでは、シルファー巻きっていうらしいよ!」
「マジかっ!?」
どうやらファイルド国のものが現地に流れて、結果そうなったようだ。
「うん、……。どちらも結構流行っているみたい、……」
かつてのライバル国であったファイルド国から、今コリンド国は様々な物や習慣を受け容れて、かなり浸透してきているようだ。
そこには大国固有の驕りは認められず、ただただ実利で結び付く、……。ある意味、なりふり構わない合理的な意識が働いているように、ハルコンには見受けられた。
「頑張ってね、ハルコン!」
「うん」
ミラの言葉に、こちらもひとつ返事をして、こくりと頷いた。
「天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生」をお読み頂き、ありがとうございます!
ハルコンの薬学チートや、仲間たちとの冒険を楽しんで頂けたら嬉しいです!
この物語を気に入って下さったら、☆評価やブックマークで応援して頂けると、作者の励みになります!
ハルコンと一緒に次の展開を盛り上げるため、ぜひ力を貸してください!✨




