50 帝都での出来事_14
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「ハルコン殿、……。此度の件、大変感謝致しますぞ。シルファー団長があぁして元気を取り戻されたのは、誠に以て貴殿のおかげですからな!」
切実な表情で、私に対し、アントン騎士長が感謝の気持ちを伝えてくれた。
「い、いいえ。そんなことありません。私など、ホンとただきっかけを作っただけですから、……」
「それでもです、……。ありがとう!」
そう言って、こちらの手をしっかりと握ってこられた。
「……」
おそらく、……。この人は心がとても大人だから、私のような子供にも頭を下げることに、何ら痛痒を感じることがないのだろう。
先ほどとは打って変わって、すっかり元気を取り戻されたシルファー団長を見て、アントン騎士長はホッと安堵した表情を浮かべておられた。
実を言うと、……。アントン騎士長は先の大戦で武勲を上げた、元々一兵卒からの叩き上げの方だ。
それが、ラスキン国王陛下の目に留まり、シルファー団長の護衛騎士長を任じられ、現在もなおその職務を務めているのだけど、……。
でも、こちらの目から見ても、シルファー団長は頭が切れる上に、行動力が半端ない。
その絶世の美貌といった外見とは裏腹に、かなりのじゃじゃ馬でいらっしゃるのだ。
そんな方の事実上のお守りをされているのだから、その心労たるや、相当に計り知れないところがあるのだろう、とハルコンは思った。
すると、……。
宮殿の大ホール中に、「おぉっ!」というため息とも歓声とも取れる声が、さざ波のように溢れ返った。
もしかして、……とハルコンは思った。
「ステラ・コリンド、……。第三皇女殿下のお成~~りぃ!」
会場を担当する係の朗々たる声で、彼女はこの場に現れなさった。
ホンの数年前まで、病弱で表に出ることが叶わず、まさに知る人ぞ知る人物であるステラ殿下。
それが、こうして公の場に現れたものだから、大ホールのコリンド貴族達を始め、官僚、大商人達は、目の色を変えてそのお姿に視線を送っているみたいだ。
ステラ殿下は白のシルク地のドレスをお召しになり、緩やかにシルファー団長の許に歩みなさった。
そして、ステラ殿下とシルファー団長はお互いに笑顔で目配せし合うと、……ステラ殿下に更に視線が集中した。
「会場の皆様っ! 私ステラ・コリンドは、この3年間、隣国ファイルド国に留学し、王家の皆様に大変よくして頂きました! こちらにおわします方は、シルファー・ファイルド第二王女殿下ですっ。この度、殿下の率いなられる旅団に参加し、こうして一時帰国致しました。両国の今後の友好のため、どうか万雷の拍手を以て、報いて頂けないでしょうか?」
その口上に触発され、会場中は鳴り止まぬ拍手に包まれる。
なるほど、……。ステラ殿下もまた団長と同じく、なかなかの肝っ玉だなぁとハルコンは思った。
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