50 帝都での出来事_13
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コリンドの宮殿に到着したその日の晩、……。宮殿側で、歓迎の晩餐会が催された。
その晩餐会は立食形式で、高級そうな絨毯を敷き詰めた大ホールには、帝都に滞在中のコリンド貴族達も、多く参加していた。
私とミラは、シルファー団長の護衛兼補佐を務めているからね。
だから、団長の傍を一時も離れることなく、会場にも同行したんだ。
「うっ、うぷ、……。ドレスがきつくて、……吐きそう」
青白い顔をした団長が、口元に手を添えたまま、小さく呻いた。
「ほら、だから言ったじゃないですか。いくら何でも焼菓子を食べ過ぎだって!」
ミラがそう言ってシルファー団長の背中を摩ると、余計に気分が悪くなってきたみたいで、……。
「うぷぷ、……。ミラ、そんなに私を食いしん坊キャラみたいに言うな!」
今にも消え入りそうな声で、そう反論する団長だけど、……。
まぁ、さすがに可哀そうかなぁとハルコンは思った。
ちらりと会場を見ると、向こうに人だかりができている。
その中心には元女盗賊がいて、彼女はご丁寧にも薄化粧に、パステル調の清楚なドレスを身にまとっていた。
完全に営業活動モードで、フォーマルな装いがとても堂に入っている。
なるほどねぇ、……。以前の彼女は、ドレスなんて着ない人だったのに。
今はもう営業活動を優先して、公の場では、こうしてドレスを着るような人になったんだね。
すると、彼女もこちらの視線に気付いたのか、……。ニコリと笑顔を向けてきた。
なので、営業活動中申しワケないんだけど、元女盗賊の頭の中に念話を送った。
『すみません、営業活動中に。ちょっと頼まれてくれませんか?』
『えぇ、どうしたでやすか?』
そう言って、元女盗賊は嬉しそうにこちらに手を振ってきた。
『団長が、ちょっとピンチです!』
『なるほど』
元女盗賊は、周りに集まるコリンドの中年貴族達に軽く礼を言ってその場を離れると、……。直ぐに、こちらまでやってきた。
「すみません、助かります」
「ハルコン殿、……。どうせば、よかね?」
「団長の腹の辺りに触れて下さい」
こちらがそう言ったら、元女盗賊は一瞬躊躇したような表情を浮かべた。
「恐れ多くば、姫様でやすよ?」
ちらりとシルファー団長を見ると、その薄い背中が冷や汗でうっすらと濡れていた。
「緊急事態ですから、構いません!」
「せば、やるとね」
元女盗賊に団長の腹の辺りを触れさせて、そのままスキル「マジックハンド」で胃袋の中身を転移させる。
とりあえず、宮殿を取り囲むお堀の水上に移動させた。
今頃、お堀の腹を空かせた鯉達が、パクパクと啄んでいるんじゃないのかな?
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