50 帝都での出来事_12
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トップ同士による交渉の前打ち合わせが終わった後、コリンドの宮殿側で用意してくれた客室に、皆で移動した。
先ほどより、シルファー団長がむすっとされていて、……。他のメンバー達はどう対応していいか戸惑ってしまい、お互いに顔を見合っていた。
「とりあえず、……。お疲れ様でした!」
私が、コリンドの宮殿側で予め用意してくれたお茶と焼菓子を皿に並べてお出しすると、……。
シルファー団長は、ちらりとこちらの表情をご覧になった後、ひとつ頷かれてから、そのままもしゃもしゃと焼菓子を食べ始めた。
う~ん、かなり重症だなぁ。
さっきから、ず~っと黙ったまんまなんだけど、……。
傍らにいるミラを見ると、「しばらく、そぉ~っとしておこうよ!」と耳打ちしてきた。
ホンと、……。先ほどまでは意気揚々と、シルファー団長は両国の通商の前交渉に打って出られたのだけどさ。
でも、相手は大国コリンドの皇帝陛下だよ。
結局、団長はあの後も頑張って交渉を続けたのだけど、……。丁重にあしらわれて、何の成果も残すことが叶わなかったんだ。
すると、……。
しばらくの間俯いて黙ってらした団長の背中が、プルプルと小刻みに震え出した。
何だかなぁ、……。こっちにまで飛び火しないといいんだけど。
「くそくそくそっ、一体なんやねん。こちらがホンま誠心誠意、話を尽くさんとしているちゅーのに、……。軽ぅ~くあしらわれてもうて、……。これじゃぁ、まるでガキの使いにもならへんで!」
えっ!? えぇ~っ!? 何コレ?
シルファー団長は、ファイルド国でも最上級のお嬢様のはずなのに!
交渉事でコテンパンにされたら、こんなにも訛りまみれになっちゃうのっ!?
今、旅団の団員達は、コリンドの宮殿が用意した客間エリアのそれぞれの部屋で、長旅を寛いでいるところだ。
そして、ハルコン達、指揮車のメンバーが通された居室は、特に豪華だ。
床など随所にふんだんに大理石を使用していたり、光魔石や水魔石を配備して、とても快適な造りとなっている。
おそらく、コリンドの宮殿に訪れる、最上級の賓客向けの部屋なのだろうなぁとハルコンは思った。
さて、……と。
まぁ、……子供が大人に対抗して交渉事をしたのだから、……。こうなるのは目に見えていたよね。
私は、シルファー団長がこれまで順風満帆に物事に触れてきたから、そろそろ挫折するターンがくるんじゃないかなぁと思っていたんだ。
その相手が、そこらの木っ端貴族なら腹立たしいけど、……。
でも、大国コリンドの皇帝陛下を相手に、あれだけ頑張ったのだからさ。よく言えば、いい経験になったんじゃないのかな。
と、まぁ、……そんな風に思いながら。先ほどより、焼菓子をやけ食いされている団長のことを、ハルコンはただじっと眺めていた。
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