表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生  作者: 西洋司
第一部「ハルコン少年期」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

50/440

09 ミラ・シルウィット その1_03

   *         *


「ワカりました。では、遠慮なく私の意見を述べさせて頂きます」


「えぇ、どうぞ」


 女神様は、ハルコンの内心など先刻ご存じのように、ニッコリと微笑まれた。


「ミラ嬢の父君ローレル・シルウィット卿は、ファイルド国東方3領のひとつを治めている新興貴族家の現当主です。シルウィット家は、先々代に戦で手柄を立てたことで貴族となった、元平民の一族です。そのためか、貴族としての責務をとても重視する傾向が強く、武家の誉れを第一としている家柄と言えます」


「なるほど、……続けて下さい」


「一方で、シルウィット家は治世、特に経済に疎くノウハウがありません。ローレル卿は貴族社会における世渡りも同様に苦手としており、隣領のロスシルド家からの嫌がらせにも、適切に抗し切れていない現状と思われます。ですが、我々セイントーク家とは積極的に交流していらっしゃいます。温厚な父カイルズに、いささか頼り過ぎのキライがありますが、これにはむろん我が一族にも十分メリットあってのことと言えると思いますね」


「それってつまり、セイントーク領の防衛力は元々貧弱で、最近は女盗賊さんの指揮の下、傭兵団を組織しているとはいえ、まだまだ急造の感が否めない。故に、戦で成り上がったシルウィット家とは、とにかく友好的な関係にあるのがいい。そんな判断が為されているのですね?」


「はい。両家にとって、お互い親戚関係になることこそ、一番メリットがあると言っていいと思われます」


「なるほど。でもねぇ~っ、ハルコン君。そんな貴族的な建前は、この際ノーサンキューですから。ねぇ、ざっくばらんに、……晴子さん的には一体どうなんですか? もっと本音で話し合いましょうよ、ねぇっ!」


「私、……的にですか?」


 そうは言ってもなぁ。どこまで本音で話すのが正解なんだろう?

 まさか、女神様相手に、ガールズトークで花を咲かせるワケにもいかないんだろうし。


 ハルコンが何だかんだ言葉に窮していると、女神様はいつぞや見せてくれた、天界のガジェットを懐からごそごそと取り出してきた。


「晴子さん。一度よぉ~く、こちらをご覧になって!」


 その機器のモニターには、ミラ嬢が同じ位の年齢の少年に髪を引っ張られたり、小突かれたりしてイジメられている様子が、まざまざと映し出されていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ