50 帝都での出来事_10
* *
「では今回、……。我々旅団が通ってきた、ファイルド・コリンドルートなのですが、……」
シルファー団長はそう仰って、本日の最大の目的である商業ルート開設の話を切り出しなされた。
「ふむ。伺おうか?」
すると、皇帝陛下も先ほどからの柔和な雰囲気を若干改めなさって、いくぶん表情を引き締められた。
その表情を見て、団長はひとつ頷かれると、おもむろに書簡を取り出した。
「陛下、こちらを。我が王宮からの詔書となります!」
「ふむ。賢王ラスキンからの手紙か、……。大変興味があるな!」
それからしばしの間、皇帝陛下はその手紙に目を通されておられた。
その、時おりお見せになる厳しめの表情から窺い知るに、……。
どうやら、いわゆる両国の「非公式」通商について、言及されているのではないかなぁと、私は思った。
「なるほど、……な」
皇帝陛下はそう仰ると、静かに書面を畳んで、懐深くにおしまいになられた。
その様子をご覧になったシルファー団長は、更に表情を引き締めなさると、こうお話しになられた。
「これまでファイルド・コリンドのルートは、半ば『非公式』の形で、我が国のロスシルド伯と貴国のコジカ辺境伯との間で開通しておりました!」
「ふむ、……。『非公式』というのは、つまり密貿易ということだね?」
「はい。両国が国交を樹立する以前に開通していたルートです。我が父も、そのルートを諸事情から半ば黙認しておりました」
そう団長が仰ると、皇帝陛下は顎に手をやって、しばしの間思案された。
「おかげで、我が国の貧困期を、何とかしのぐことができた、……というワケだね?」
「はい。我が国も、貴国に万が一のことがあった場合、大量の難民がこちらに押し寄せる可能性があることを考慮しておりました」
「……」
「それならば、貴国との間に関税なしで物資を送り、その結果持ち直したのであれば、我が国も安泰だという結論に達しておりました」
「ふむ、……。その慧眼の持ち主が、ハルコン卿、貴殿の父、カイルズ卿というワケだね?」
陛下はそう仰って、こちらにニコリと微笑みなされた。
「はい。恐れ多くも、我が父カイルズが描いた『展望』です!」
私自身、正直に事実のみお伝えする話だと思ったからね。
「ふむ、……。それが貴国の『善隣外交』の、全体構想のホンの一部ということか、……」
なるほど、……。さすがと言わざるを得ないかも。
陛下は全てご理解なさっておられたのかと、ハルコンは思った。
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