50 帝都での出来事_08
* *
「むぅ、……。やはり、ハルコン卿は『神の御使い』様であると見て間違いないのかね?」
「えぇ、おそらくは、……。ただ、卿本人が特別扱いされることに、若干の抵抗があるようでして、……」
「なるほど」
皇帝陛下の問いかけに対し、シルファー団長は、緊張はおろか何ら臆することなく、ひとつひとつ丁寧にお答えになっている。
ただ、そのお二人の話題が、私に関するものだからさ、……。こちらとしても、ちょっとばかし「もにょっ」とするんだよね。
「我が国では、今後ともハルコン卿のこれまでの実績に合わせて、相応しい身分になって貰おうとしているところです」
「ほぅ、具体的にはどのような処遇をするご予定なのかな?」
「我が父、王ラスキンは、ハルコン卿に私、シルファーとの婚姻を求めております。その場合、確たる領地と資産を王宮は用意し、卿には公爵の地位になって貰う予定でおります」
「んなっ!?」
傍らで一緒に話をお聞きになっていたステラ殿下が、ギョッとした顔をされた。
どうやら、初耳だったみたいだ。
一方、ステラ殿下の姉君は、既に他国の王子の許に嫁ぐことが決まっているらしく、……。
皇后様と同じく、まぁそうだろうなぁといった表情をされていた。
実際の話、この件については、まだ陛下から内々(ないない)で出た話に過ぎず、全く以て現状では未定の話だ。
そんな不確実な話を、さも当然のような顔をされてシルファー団長がお話しになるのを見て、……。少し後方の丸椅子に腰かけているミラの顔が、段々と沈んでいくのは、とても可哀そうだなぁとハルコンは思った。
「ふむ、……。我が国でも宮殿の総意として、国の将来のために、ハルコン卿に婿に入って貰おうかと、……。ステラを次の女帝にして、その皇配になって貰えないかと思っておった次第でな!」
「……」
その皇帝陛下のお言葉を聞き、しばしの間、考えを巡らせているご様子のシルファー団長。
すると、……。
「私は、ステラ殿下と正妻の座を争うつもりはございません。きたるべき時に、ハルコン卿の意志に従うのみと思っております」
「それはオマエもだな、ステラ?」
「はいっ、お父様!」
「陛下、先ほどもお伝えしたとおり、ファイルド国は全戦力を投入したとしても、ハルコン卿一人の力に到底 敵いません」
「お父様、……。我が帝国もまた、その全戦力を以てしても、以前ハルコン卿が物資輸送で用いられたスキル『マジックハンド』には、決して敵いません!」
「……」
いやいやいや、……。皆さん、私に関してそんな風にお考えになられていたの? とハルコンは思った。
まぁ、……表情には、おくびにも出さないつもりだけどね。
「我が帝国はハルコン卿の助力のおかげで、こうして持ち直すことができたのだ。我々も同様に、きたるべき時にハルコン卿に話を伺うこととしよう!」
陛下のお言葉に、シルファー団長もステラ殿下も皇后様も姉殿下もニッコリとお笑いになる。
でもなぁ、……。さっきから、私そっちのけで、話がドンドン進んじゃっているんだけどなぁ、……。
ハルコンはしょんぼりとしたミラを傍らに見ながら、小さくため息を吐いた。
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