50 帝都での出来事_02
* *
「ハルコン殿、これではあんまりではありませんか!」
帝国の騎士団長が、そう強く訴えてきた。
まぁ、……そりゃぁそうだろう。せっかく帝国の最新鋭の馬車を用意して、超VIP対応で護衛をしようと、国境くんだりまで、わざわざやってきたというのに、……。
それが、……だよ。
そもそもの護衛対象であるステラ殿下、シルファー団長、それと私だけでなく、旅団そのものが目の前から忽然といなくなってしまったんだからね。
「まぁまぁ、……。ですが、この今乗っている指揮車両も、ファイルド国側で特別に誂えた馬車なんですよねぇ!」
「でしたら、……。宮殿までで構いませんので、ステラ殿下とご一緒に、我が帝国製の馬車にお乗り換え頂けませんか?」
「……」
どうやら、その点を退く気はないらしい。
そもそも、馬車はその国の科学力、技術力を総合した製品であり、各国ともしのぎを削っていると聞く、……。
「せめて、……。後生ですから!」
ちらりとステラ殿下を見た。
殿下は、忠実な臣下のたっての願いを、やはり無下にはできないらしい。
戸惑った表情を浮かべられた後、「どうしてもダメですか、ハルコン?」といったご様子で、こちらを見てこられた。
ならばと思い、次はシルファー団長をちらりと見た。
「そんなのいいから! 私達だけでさっさと宮殿に向いましょ?」といったご様子で、ニコリとお笑いになられた。
最後に、「ホンと、どうしましょ?」と半ばウンザリ気味にアントン騎士長をちらりと見ると、……。
「本官では、いかんともし難く、……」といった表情で、相手も弱った表情でこちらを見返してきた。
すると、肩先をトントンと軽く叩く者がいる。
「どうしたの、ミラ?」
そうしたら、こちらに身を寄せて耳打ちしてくる。
「後で恨まれたら、厄介だよ!」
「……」
なるほど、確かにそうだ。
何しろ、コリンドの護衛騎士長といえば、数年前まで対戦していた軍部の上級幹部が務めるものと相場が決まっている。
外には、帝国の護衛騎士300騎が控えている。
相手にもメンツがあるし、ここは従うべきではないかとハルコンは思った。
「では、我々も帝国のご用意された馬車に乗り換えましょう!」
「「ええっ!?」」
両殿下は、どうやらこちらが断るものと思っていたご様子だけど、……。
「おぉ、感謝致しますぞ、ハルコン殿! 直ぐに手配致しますゆえ、こちらまで移動なさって下さい!」
しばらくして車止めに車体を寄せると、横付けされた馬車に皆で乗り換えた。
その際、ステラ殿下はホッとした表情を浮かべられ、シルファー団長からは一瞬キッと目で凄まれてしまった。
実際、帝国の騎士長に花を持たせて先方の馬車に乗り換えたら、サスペンションがそもそも付いてなかった。
「うぇ~~っ! 街中の石畳なのに、段差でお尻がずんずんくるぅ!」
シルファー団長が呻かれていらっしゃるが、とりあえず聞こえないふり。
300人の帝国騎士ががっちり護衛する中、馬車と旅団は帝国の宮殿に入っていった。
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