49 コリンドの風景_16
* *
確か、そう言えばさ、……。
以前中年の一級剣士さんの記憶の中に、私がフルダイブした時のことなんだけど。
あのおバカなロスシルド家の長男ノーマンと、中年の一級剣士さんとのやり取りを、私はつぶさに見ているんだよね。
あの時のノーマンは、ロスシルド家の当主ジョルナムが、隣国の大貴族からステラ殿下の健康面のことで恫喝されてしまってさ。
そんな父親を助けたい一心で、学園の貴族寮にあった当時の私のラボに、あのバカは侵入しちゃってさ。
まだ開発中のエリクサーを、盗もうとしたんだっけ。
なら、あの時の隣国の大貴族って、……。もしかして、この目の前にいるコジカ辺境伯なのかな?
そんなことを思いながら、ハルコンはちらりとステラ殿下の様子を窺うと、……。
「辺境伯、以前に私の健康のことで、大変ご尽力なされたようで、……」
そう仰って、ニコリと微笑まれた。
「とっ、とんでもございません。私にできることなど、たかが知れております!」
泡を食ったように、一息にそう辺境伯がお伝えすると、ステラ殿下は静かに優しく微笑まれた。
「それでもです。ありがとうございます、辺境伯!」
そう穏やかに仰って、ステラ殿下は静かに辺境伯のお手を取ると、……。
「で、殿下ぁっ!」
相手はそう仰って、感極まって涙ぐんでしまわれた。
なるほど、……ね。
ちらりと、騎馬の傍に立て懸けられた旗の紋章を見たところ、……。
あの時の中年の一級剣士の記憶で見た紋章と、どうやら一致しているようだ。
「まぁ、……そのおかげで、ステラ殿下はこうしてハルコンともお知り合いになられたのですよね?」
すると、すかさずシルファー団長が、にこやかに口をお挟みになられた。
「はい。良縁にも恵まれて、大変感謝しております!」
いくぶん挑発めいた視線で、不敵な笑みを浮かべつつお笑いになるステラ殿下。
「またまたぁ。ハルコンはウチの貴族よ!」
「あらあらぁ、ハルコンはコリンドの救国の英雄様なのですよ!」
両殿下は、お互いにスマイルを浮かべつつ、その場で軽く睨み合いをなされた。
そのご様子を、両殿下の背後に立つミラが、何とも言えない表情を浮かべて見つめていた。
お二方といつも共にいるミラにとって、彼女達のこんなやり取りなど、ホンと日常茶飯事なんだろうなぁと、ハルコンは思った。
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