49 コリンドの風景_14
* *
「……、ってワケだったんですよぉ」
「それは、お困りでしたな」
ステラ殿下が、先ほどの国境の関門であった出来事をざっと説明なさると、コジカ辺境伯は大汗をかきながら、何度も頷かれていた。
こちらのメンバーは、シルファー団長とアントン騎士長、中年の一級剣士とステラ殿下と私だ。
水入れ用の空樽を数個並べ、その上に天板を数枚布いたテーブルを囲んで、丸椅子に腰かけている。
今、コジカ辺境伯は数名の騎士と共に、旅団の指揮車両脇に急遽設けられたその会談の席で、こちらの話をお聞きになっていた。
突然現れた両国のVIP達を前に、たとえ大貴族といえど、コジカ辺境伯は真っ青な顔をされていた。
でも、こちらが事情を説明するウチに、段々とホッとした表情も浮かべるようになった。
「辺境伯、突然のことで申しワケありませんわ。事前に使いの者を送って、ちゃんと話を通しておくべきでしたよね?」
シルファー団長が、珍しく自身に非があるような物言いをされて、すまなそうにスマイルを浮かべられると、……。
「殿下、とんでもありませんっ!」
辺境伯はそう仰って、大きく何度も頭をお振りなさった。
まぁ、……。これなら、大丈夫そうかな?
とりあえず場が収まりそうなのを見て、ハルコンはホッと一安心する。
「それでこの度の旅団は、これから帝都の宮殿に向かい、皇帝陛下に拝謁する予定でおります。ステラ殿下の3年ぶりの里帰りも、含まれておりますわ!」
シルファー団長の言葉に、辺境伯は汗まみれになりながらも、こうお訊ねなられた。
「今後、貴国ファイルド国と我々コリンド国の公式ルートを、シルファー殿下がご担当されるということでありましょうか?」
そう、おそるおそるといったご様子で、コジカ辺境伯はこの旅団の「真の目的」をお探りになられた。
ホンと、そうなんだよなぁ、……とハルコンは思う。
今回、まだ若干13歳のシルファー団長が旅団を率いているのには、実はワケがあった。
ラスキン国王陛下のご子息、ご息女は、シルファー団長を含めて4名。
上の3人は既に成人済みで、精力的に各国を回って、国の基幹物資である仙薬エリクサー、ハルコンAとBを販売するルートを確立している。
そして、唯一残されていたルートが、コリンドを経由したサスパニアまでの分で、これが今回サスパニアとの国交が急遽結ばれることで、新たに浮上してきたというワケだ。
早朝の面会の際、陛下からはシルファー団長の補佐を引き続き行うよう要請されている。
だから、このルートは今後シルファー団長の縄張り(シマ)になるんだよね。
そう思って、ハルコンはじっと両殿下の表情を窺ったところ、……。
シルファー団長はステラ殿下と共に、ニッコリと極上のスマイルを浮かべてなさったんだ。
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