49 コリンドの風景_13
* *
「シルファー団長、……。ちゃんと、策はあるのですかな?」
「ないわよ! ノープランッ!」
アントン騎士長が、先をゆく団長を追っかけながら訊ねたところ、……。団長はそう仰って、ニコッとお笑いになる。
「何とっ!」
一瞬、アントン騎士長の全身が揺れ、ぐらりと肩から崩れた。
「わっはっは! なかなか剛毅な姫様よのぅ!」
私の隣りで、中年の一級剣士が豪胆に笑う。
えぇ~~っ!? そんなんでいいの? とハルコンは思ったが、……。
まぁ、この人なら、こういうことを平気で言うんだよなぁ、……とも。
ちらりとステラ殿下の方を見ると、ミラを傍に控えさせながら、こちらは何やら頭を巡らせているような表情をされていらっしゃる。
まぁ、……。さすがにステラ殿下まで、ノープランってことはないだろうけど。
「ねぇ、……。大丈夫なの、ハルコン?」
ミラが、こちらに身体を寄せて、こそっと耳打ちしてくる。
「まぁ、……。また転移すればいいだけだし」
「はぁ~っ!?」
「もし最悪一戦交えそうになるなら、その場合は再び旅団と全装備を転移させ、安全を確保すればいいだろうしね!」
「呆れたぁ! そんなのズルッこじゃない!」
とは言うものの、そもそもコジカ辺境伯は地元の大貴族だ。皇族のステラ殿下と会ったこともあるはずだから、……。まぁ、それでほぼ問題ないだろう。
ハルコンはそんなことを思いながら、シルファー団長の後に続く。
そして、コジカ辺境伯領の騎士団に包囲されてから10数分後、団長を始めとする総勢6名は、辺境伯マリオン・コジカの前に立った。
「スッ、ステラ殿下ではありませんかっ!?」
騎乗していた辺境伯は慌てて馬を降りると、ステラ殿下の許に駆け寄って、地面に片膝をついて臣下のポーズを示した。
「良いのですよ。盛大なお出迎え、ご苦労様です!」
「ハハッ!」
ステラ殿下がアルカイックスマイルで辺境伯を労うと、相手は畏まって更に頭を下げてゆく。
「ねっ。上手くいったでしょ?」
そう仰って、屈託なくお笑いになるシルファー団長に、アントン騎士長は「全くです!」と、半ば諦め気味に本音を吐露した。
それを見て、中年の一級剣士が「わっはっは!」と再び大きな声で笑う。
いやぁ~、姫様付きの武官は大変そうだなぁと、ハルコンは心底思った。
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