49 コリンドの風景_10
* *
「これは一体、どうなっているんだぁぁ―――っ!?」
「何故、我々は関門から飛ばされているんだぁぁ―――っ!!??」
次々と、旅団の団員達が騒ぎ始めた。
その騒ぎが、なかなか収拾がつかない様子だったので、私は、ちらりとシルファー団長の表情を窺った。
すると、……。
「これでいいのよ、ハルコン!」
団長はそう仰って、ニコリと笑った。
「えぇ、これで問題ありませんよ!」
ステラ殿下もまた、団長に笑顔で相槌を打たれている。
ちらりとミラを見ると、ミラは一瞬目を細めて何かを逡巡したような表情になり、……。
それから、思い出したようにアントン騎士長を見た。
ハルコンも、ならアントン騎士長はこの事態に何と言うのかと思って、じっと見ると、……。
「いやぁ~、私どもでは、お手上げですな!」
そう言って、早々に白旗を上げてしまった。
まぁ、……そりゃぁそうだろう。いきなり、1000人規模の人員と物資、馬車全てが、何の前触れもなく、突然隣国の国境近くの領都まで転移してしまったんだからね。
「では、シルファー団長殿、……。これから、事態をどう収拾されるおつもりですかな?」
アントン騎士長が率直に団長に訊ねたら、彼女はステラ殿下共々ニヤッとお笑いになった。
「そのための『神軍』ですよ! 今頃、ハルコンのお仲間の皆さんが動いてくれているでしょうから、……。我々は、笑顔で団員の期待に応えるだけでいいんです!」
「えぇそうです。シルファー団長の仰るとおりですわ!」
2人はそう仰って、特に慌てている様子ではない。
すると、……。
「沈まれ、沈まれ、沈まれぇぇぇ―――っっ!! 我らは、シルファー団長率いる『神軍』なるぞっ!!」
突然の怒声! その声が辺り一面に広がるや、半ばパニック状態に陥っていた団員達全てが、いっせいに沈黙する。
「ほら、……ね!」
シルファー団長が、悪戯っぽく笑うと、ステラ殿下共々、天井のキャノピーを開けて、外の様子を一望する。
「ほらっ、ハルコン、ミラも一緒に御覧なさいっ!」
そう仰って、こちらの手を引っ張りなさるので、つられて展望席に上がった。
先ほどのかけ声の主は、やはり中年の一級剣士だった。
今回もまた、群集心理で今にも迷走しそうな旅団を、一瞬にして鎮静化させてくれた。
「師匠って、ホンと凄い人だね!」
隣りでミラが、思わず声を漏らしている。
「ホンと、……だね!」
全くそのとおりだと、ハルコンも思った。
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