49 コリンドの風景_09
* *
さて、……。そろそろかなぁと、ハルコンは思った。
だってさ、あのシルファー団長だよ。私のよく存じ上げている団長は、ただ黙って、いつまでも相手の言い分を聞いているようなお人ではないからね。
それに、ステラ殿下もだよ!
「私のお尻、そんなに真っ赤になんないもん!」
なぁ~んて、甘えた声でさ。かわいらしいことをぐちぐちと言っているような、そんな軟弱なお方では決してないからねっ!!
そぉ~んなことを私は思いながら、ちらりとステラ殿下を窺うと、……。
「んべっ!」
何と、自国の宮殿の護衛騎士団長の方を見て、バレない程度に舌をぺろりとお出しになられているじゃないの!
う~ん。やっぱり、先ほどまでのどこかしおらしい感じの、楚々とした姫様然としたポーズは、あくまで演技だったか、……。
そんな風に思って殿下を見ていたら、彼女はウインクをして、こちらにニコリとお笑いになられた。
なら、こちらもひとつ頷いて返したところ、ステラ殿下の視線が再びシルファー団長の方に向く。
つまり、そろそろ団長が何か策を実行されるだろうから、……。
ハルコン、あなたもちゃんと準備しておきなさいよ! と暗にお示しになられているのだ。
すると、……。
シルファー団長もまた、こちらの方に一瞬目をやってから、ひとつ頷かれた。
もうそろそろ、……だね!
「ハルコンッ! 『マジックハンド』!」
「了解!!」
間髪入れず、私はスキル「マジックハンド」を発動。
コリンドの国境関門から数キロ先にある、コジカ辺境伯領の領都ミオン近くまで、……。旅団員総勢1000名及び備品資材諸々全てを、私は移動させた。
相手は相当に泡を食ったことだろう。
だって、いきなり忽然と1000人を超える大旅団が、目の前から消滅してしまったのだからね。
「あぁ~っ、おっかしぃ~っ!」
けらけらとお笑いになるシルファー団長に、ステラ殿下もニヤリとお笑いになられた。
それから、シルファー団長とステラ殿下は、「「イェーイッ!」」と仰って、すかさずハイタッチをなされた。
「えっ、えぇ~と、シルファー団長。ホンとに、これでよろしかったのですか?」
「いいのよ、ハルコン。だって、検問の書類審査は既に通っていたワケだし。それに、こちらにはステラ殿下というコリンドの皇族がいらっしゃるのだから、騎士団長如きの都合なんて、ぶっちよ、ぶっち!」
「んふふふふふ、ですよぉ。私もあのオジさん、何かとうるさくて、苦手だったし!」
う~ん。こんなことしちゃって、現場はホンと大変だろうなぁ、……と、ハルコンはホンの少しだけ、向こうの騎士長を始めとする大人達に同情した。
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