49 コリンドの風景_08
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さて、……。これから私はどう挽回すべきなのだろう?
コリンドの騎士団長相手に舌戦を繰り広げていらっしゃるシルファー団長を見て、私は歯噛みする気持ちでいっぱいだった。
本来なら、今ファイルド国の王宮が、率先して「善隣外交」を目指すべきなのは言うまでもないんだけど、……。
でも、現場ではそんな「綺麗事」なんか通用しないことがほとんどだ。
時には、王族自らが矢面に立たなければならないし、それをシルファー団長自らがなされている。
ファイルド国王家では、ここ最近仙薬エリクサーの販売が国の基幹産業となっている。
その薬剤の販売の担い手である王宮自らが、王家の方々を各所に配置されて、それぞれの現場で陣頭指揮をなされている現状にある。
そして、今回シルファー団長に父王ラスキン陛下が下されたのが、サスパニア方面へのエリクサー販売網の確立ということだ。
だけど、まだシルファー団長は若干13歳で、そこは私とミラを補佐に付けることで、何とか対応させようと、陛下はお考えになられているのだ。
そして、その活動に際し、たとえどんなトラブルが起ころうとも、ご自身のお力と周囲の補佐のみでちゃんと解決してみせよと、陛下はお考えのようだ。
なるほど、……。獅子は我が子を千尋の谷に落とすではないけれど。
まぁ、兄殿下のキャスパー第一王子らは、そうやって絶えず諸外国を回って商売力をお鍛えになられているのだから、シルファー団長もそれだけ見込みがあると陛下はお考えなのだろう。
むろん、私を急遽帰国させて、旅団の様子をお訊きになられるくらいだから、まだ心配なのだろうけど、……。
とにかく、これ以上シルファー団長の足を引っ張るワケにはいかない。
特に、コリンド(向こう)の騎士長を呼びこんでしまったのは、私だからさ。
私の上司である団長に、決して私の尻拭いをさせるワケにはいかないんだ、……とハルコンは思った。
王命に則り、強いご意志をお示しなさるシルファー団長に、とても頼もしく思うとともに、……。
一方では、もの凄いご負担を負わせてしまっていることに、改めて後悔の気持ちが沸いてくる。
「私のお尻、そんなに真っ赤になんないもん!」
すっかり縮こまってぼやいてなさるステラ殿下を横目に見つつ、ハルコンは一考する。
さて、……。これから私はどう挽回すべきなのだろう?
シルファー団長は、私に「余計な手出しをするな!」と、お示しになられている。
だから、こちらからは何も動けないし、王国貴族として、王族の命令に従う以外に何もすべきではない。
「この度の旅団の、我が国へのご訪問の主な目的が、ステラ第三皇女殿下と貴国の子爵であらせられるハルコン殿との、ご婚儀前の打ち合わせだと、我々は伺っております!」
「……あらぁ」
「我々帝国護衛騎士団300騎が、関門の先にて待機しております。ぜひご同行させて頂きたく、馳せ参じた次第であります!」
「……」
シルファー団長は、なおも笑顔のままなんだけど、……。
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