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08 高まる名声_05

   *         *


 ハルコンが赤子の身の上で知ったことは、この今いる世界は地球の中世ヨーロッパによく似た世界であり、少しだけ魔法の介在する世界だということ。


 でも、それは初級魔法レベルであって、ライターサイズの魔石を使って、漸く生活魔法を実行できる程度のお粗末なものだ。


 セイントーク家のように豊かな貴族家には、照明のための光魔石、現代の水道のような役割をする水魔石と下水、汚物処理をする濾過魔石、ガスコンロの役割をする火魔石などがある。


 ただ、それらは非常に高価であり、とても庶民に手の出せる代物ではない。

 もちろんケガを治すポーションもないし、ましてやアイテムボックスもない。


 それでもなお、この世界はとても魅力的だとハルコンは思う。


 例えば、まるでファンタジー小説のように、弓使いで頭のいい眉目秀麗のエルフや、技術者集団のドワーフという他種族が存在したりするのだから。


 しかも、魔物はウルフだけでなくゴブリンからコボルトにオーガ、果ては古生龍まで存在するし、アダマンタイトやミスリルといった希少鉱石も存在する世界だということ。


 それは、姉のサリナが絵本を片手にこの世界を語ってくれたことで、改めて確認できた。


 ハルコンはそんな異世界に赤子として転生してきたのだが、前世の地球基準最高峰の知識、それと類まれなる並列処理能力を併せ持っている。


 その結果、ハルコンが出した答えが、うんっ、絶対自重なんてしないよ、だった。


 確かに、家族はハルコンが神の御使いとして、将来多大な苦労を背負うのではと心配している様子なのだが。

 でも、それはそれ。


 まぁ、子供のウチはそこそこ自重して、身軽な大人になったら、試してみたいことが山ほどあるんだから。


 そう。ハルコンの真の目的は、この異世界に存在しないポーションよりも更に上級のエリクサー、……その開発だ。


 前世の晴子の頃より開発にしのぎを削り、最後は命まで奪われてしまった原因でもあるエリクサー。

 全人類、それが地球世界であろうと、この異世界であろうと、誰もが夢見る万能薬。


 私の生まれ変わったことには意味がある。何としても、この世界で必ずやエリクサーを開発してみせる。


 ふと、ハルコンは前世の地球での、仲間達とのやり取りを思い出す。


 今頃、皆さんどうしているだろうか? 

 お元気にしているかな? 


 アイウィルメクチンの開発は、順調に進んでいるのかな?

 アイツらに邪魔されたり、最悪、奪われたりしていないかな?


 とりあえず、今、私は元気です。こちらのことはお任せ下さい。

 絶対、……ありとあらゆる妨害には屈しません。


 この世界にも、必ずやアイウィルメクチンを齎してみせますよっ!

 そう、心を燃やすハルコンだった。

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