45 リ・プロローグ_03
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隣国コリンドの帝都に女エルフが訪れると、そこは惨憺たる有様だった。
衛生インフラが既に崩壊し、いつ疫病が蔓延してもおかしくないほど、街は荒廃していたのだ。
女エルフが帝都の宮殿に赴くと、ハルコンも女エルフの目を通して事態を全て把握する。
緊急を要するのは、第三皇女ステラ・コリンドだけではなかった。宮殿にいらっしゃる他の皇室の方々も、同じく病に苦しんでいるのだと。
そこで、ハルコンはスキル「天啓」を使って、女エルフに次々と指示を出す。
先ずは、女エルフの持参した仙薬エリクサータイプB(強壮剤擬き)で皇女ステラの症状を回復させ、皇室の方々を安心させることにした。
次に、新たに身に付けたチートスキル「マジックハンド」を駆使して、冷蔵庫と共に大量の仙薬エリクサータイプBを送り付けた。
その甲斐もあり、宮殿の皇室や官吏、女官らの多くが救われることになり、ハルコンはコリンドの皇室から大いに信頼を得ることになった。
突発の案件が無事解決し、次にハルコンは悲願だった仙薬エリクサータイプA(本薬)の開発に着手する。
仙薬タイプBに試薬を様々な分量でカクテルさせる作業に没頭し、ついにタイプAを完成させた。
ハルコンはミラの助言もあり、そのタイプAを独占することを良しとせず、あまねく社会に広げる公共薬として、王宮の助力を得ることに決めた。
王宮はこれら二つの仙薬エリクサーの生産を国の基幹産業と位置付け、近隣諸国に安価で適正に販売されることになった。
その際、王宮は近隣諸国と「善隣外交」を展開することを決断した。
一方で、ハルコンはもう一つの重要な薬剤を開発していた。
何と、地球の中世社会で革命的な発明だった「火薬」を、ハルコンは身近の材料のみで作り出していたのだ。
ハルコンは学生寮の裏庭で花火大会を催し、王都の空に30もの大輪の花を咲かせた。
もちろん、後で王宮から王都を騒がせたことで苦言を呈され、大いに反省するハルコンだったのだが、……。
その事態を、ハルコンの知らないところで、近隣国のサスパニアが間諜を使って、つぶさに把握していたのだ。
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