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天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生  作者: 西洋司
第一部「ハルコン少年期」

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44 サスパニア出張旅行 その7_07

   *         *


「なるほど、ハルコン殿。それは、大変難儀をされたのでしたな!」


「えぇ、全くです閣下。ですが、こうして様々な成果を得ることができましたので、良しとしたいと思っております!」


「ふむふむ、……とても、興味深い!」


 ハルコンの言葉に、農業大臣様はうんうんと納得されたように頷かれなさった。

 今回の訪問の際、私がサスパニアから持ち帰った技術をいくつか紹介したところ、その先進性に大いに驚かれていらっしゃった。


 持ち帰った技術は、先ず板ガラスで囲った農業ハウスでの冬季栽培、……。

 それと、鶏とよく似たトサカ鳥の大量飼育、いわゆるブロイラー方式の説明を私が行ったところ、大臣様は大変興味深く話をお聞きになられていた。

 

 現在はファイルド国を始め周辺各国は戦後復興期に入っており、人口が年々増加している最中にある。

 そうなると、大量に栄養価の高い食事を提供する手段が必要となり、サスパニアでのこれらの成功は、大臣にとって喉から手の出るほどの貴重な情報だったようだ。


「ハルコン殿、もしよろしければなのですが、……。我々農業部からも、今度のサスパニア出張旅行に同行することは構いませんか?」


「えぇ、よろしいですよ。ですが、週明けにはシルファー姫殿下を代表団の団長として出発するのですが、間に合いますかね?」

 

 すると、私の言葉に対し、大臣様は一瞬躊躇した表情を浮かべられた。


「王族は、当初参加されないとのことでしたよね?」


「はい。私が団長として率いていく話でしたが、……。まぁ、その、……ちょっと事情が変わったものですから、……」


 さすがに、女神様と私との話し合いで、急遽シルファー先輩とステラ殿下、それと騎士爵のミラも旅行団に参加することになったことは、……まぁ内緒だけどね。


 すると、農業大臣様はチラチラと周囲を見回してから、私に対してこっちこっちと手招きをされてこられた。

 その求めに応じて半身を近づけたところ、大臣様は私の耳元でこう囁きなされた。


「お話は伺っておりますぞ、ハルコン殿。次期 陞爵しょうしゃくの際には、公爵におなりになられるのだとか。王族を迎え入れて、今後セイントーク家も安泰でございますな?」


「えっ!?」


 この話って、まだ本決まりではないし、……。

 そもそも、最近の私に関するありとあらゆる情報が、王宮内部で緘口令かんこうれいが布かれているんじゃなかったっけ?


 そんなことを思って大臣様をじっと見たところ、彼はコホンと咳をひとつなされた。


「ハルコン殿、ヒトの口に戸は立てられないのですよ! 貴殿はこのファイルド国だけでなく、周辺各国からも重要視されているお方だ。でも、まだご自身がお若いことを、くれぐれもお忘れ召されるな!」


 農業大臣様はそう仰ると、私の脇の甘いところを、それとなく教えて下さったのだった。

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