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天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生  作者: 西洋司
第一部「ハルコン少年期」

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42 サスパニア出張旅行 その5_10

   *         *


「大変だったんですよぉ。石原中佐さんがばら撒かれた『フラワーインフルエンザ』のおかげで、ここら周辺各国で始まったばかりの農業、産業のいくつかが、ダメになってしまうところだったんですからね!」


「……、と仰いますと?」


 中佐の目が、ハルコンの意を探るような色を段々と帯びてきた。


「我々ファイルドと隣国のコリンドが、『善隣外交』のおかげで『和平』を結んでいることは、石原中佐さんもご存知でしょうか?」


「えぇ、それは存じております」


 明らかに、私の言葉に中佐は動揺している様子で、……。

 途中、暑さのために麻の手拭いで額の汗を拭う回数が、目に見えて増えてきているように思われた。


「ここ最近、……コリンドは、石鹼せっけん製造を主力産業にしています。その原料となる香料は、実は我々ファイルドが供給しているんですね。主に私の故郷の、……東方3領で花の栽培を行っていて、香料の製造もしているんです!」


「……ほぅ」


「それがですね、……。今回の件、全てあなた方がばら撒かれた『フラワーインフルエンザ』のおかげでね。せっかく育てた花が、全て『花枯れ』で危うくダメになってしまうところでしたよ!」


 私はそう言って、……少しだけ相手をじっと睨んだ。

 中佐は、しばらくこちらの目の色を窺っていたが、……。


「失礼!」


 そう言って、ローテーブルの上の葉巻に手を伸ばすと、……。

 中佐は流れるようにパンチカットして直ぐに火を着け、おもむろにスパスパとその煙を吸い始めたのだ。


 こんな態度を取られることは、実は前世の晴子の時代には日常茶飯事だった。


 世の男性諸氏というものは、得てして女性を下に見てくるというか、舐めてかかってくるというか、……。


 まぁ、とりあえずできるだけ時間稼ぎをして、……。そのウチ、こちらの隙を見ながら妥協点を提示してくるのが、ホンと世の常なのだ。


 あぁ、よくある手なんだよなぁ、……。私はそんな風に思って、中佐の様子を黙って見つめていたんだけど、……。


 でもさ、……。私の隣りに座って、先ほどよりじっと黙っていた元女盗賊さんは、そんな地球産の常識や世間知など、全く知る由もなかったんだよね。

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