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天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生  作者: 西洋司
第一部「ハルコン少年期」

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42 サスパニア出張旅行 その5_09

   *         *


「では、石原中佐さんが仰られたとおりですと、あなた方は生前から女神様と接触し、様々な便宜を図って貰っていらした、……ということになりますね?」


「はい。ハルコン殿の仰るとおりです」


 つまり、ハルコンの場合と違って、石原中佐さん達の場合は異世界転生ではなく、異世界転移だったということなのかなぁ、……。


「なら、あなた方は私と違って、まだお亡くなりになられてはいないと?」


「……、ということになりますかな?」


 ここで石原中佐はグッと目を瞑ると、しばしの間押し黙ってしまった。


 おそらく、過去のことについて思いを巡らせているのかもしれないなぁと思って、こちらも黙って相手の表情を窺っていた。


「ハルコン殿、……我々が、いつ、どのようにしてこちらの世界、ファルコニアに転移させられたのかを話しますが、……。お聞き願えますか?」


「えぇ。伺いましょう!」


 こちらが快諾すると、相手は「では、……」といって、話を切り出してきた。


 それから数10分の間、石原中佐は当時の状況、旧軍の置かれた環境、戦地での様子、当時の社会風俗について、彼の見たまま、感じたままを、……おそらく、正直に話してくれたと思う。


 相手が凄腕の現役の情報将校のため、どこまで信用していいのか定かではないのだけど、……。

 でも、中佐が私に対して心を開いてお話しになられているのは、その眼の色を見ただけで十分理解できるものだった。


 途中、給仕の者がお茶と茶菓子を持って現れたが、ほとんど話は中断することなく続けられた。


 そして、中佐の話すその内容は、後世の私ですら知らない一次情報が多数含まれていて、とても傾聴に値する話だったと思う。


「……、以上が、我々の持つ情報の全てとなります。後世にお生まれのハルコン殿には、いささか退屈なお話しではありませんでしたか?」


「いっ、いぃえっ、とんでもないっ! 私が学生時代に調べていた話の疑問点が、中佐のお話のおかげでいくつか解消されましたし。とても大事なお話をこうして伺えて、大変光栄に思います」


 そう言って、私はニコリと笑顔を作って相手を見た。


「ほぅ。では、その疑問点とは如何なるもので?」


「えぇ。生物兵器に関して、……ですね。やはり、あなた方は戦時中に『フラワーインフルエンザ』について研究をなさっておいでだったのかと?」


「……」


 私のいささか毒を含んだ問いかけに、中佐はしばしの間黙ってしまった。

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