表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生  作者: 西洋司
第一部「ハルコン少年期」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

382/445

41 サスパニア出張旅行 その4_19

   *         *


 それにしても、……だ。

 サスパニアの警戒網、……こちらが最初に思ったよりもずっと厳重で、正直かなり侮っていた。


 そもそも向こうさんのやり口がさ、……。以前本で読んだ万州の関西軍の情報部隊を、そのまんま踏襲しているんだからね。


「それでぇ~、……私達の国の、一体何を探りにきたんですかぁ? お姉ぇ~さんっ?」


 そう笑顔で言いながら、踊り子の一人が、元女盗賊さんの胸元を構わず探り始めた。


「何するでやんしぃ! こげなこつ、後ば悔やんでも遅かばいでやしよ!」


「キャハハハハハッッ! お姉ぇ~さん、一体どこの田舎もん? ホォ~ンと訛りが凄かばいでやしよ! キャハハハハハッッ!」


 いつもの元女盗賊さんなら、この程度の工作員など、軽く一蹴してしまうことだろう。

 でも、今回は完全に身体の動きを封じられてしまっており、ぐったりした青い顔で、……まさに、されるがままの有様だ。


 さて、……。なら、私はどう対処すべきだろう?


 とにかく、いつも頼りになる元女盗賊さんの助力を、とても請えない状態だ。

 でも、極めて幸いなことに、ハルコンも彼女もしびれ薬のような毒を盛られたワケではない。


 あくまで食べ過ぎ。おそらく小一時間もすれば、通常どおりに身動きを取ることも可能だろう。


「ねぇ、……そこの少年!」


「……、何です?」


「アンタ、こんな危機的な状態だというのに、やけに落ち着いているわね?」


「……」


 末端の工作員程度の踊り子の少女達に、いちいちこちらが答える義務はない。

 とりあえず、……まぁ、ここは黙秘だなぁと思った。


「黙ってないで、何か答えなさいよっ!」


「……」


 おそらく、今、まさに手練れそうな元女盗賊さんを捕縛して、少女達の心の中では小さな驕りが生まれているに違いない。

 なら、前にも増して、こちらに大胆な振る舞いをしてくるんじゃないかなぁ。


 見ると、さっそくもう一人の少女が太ももに隠し持った匕首をスッと構えて、こちらに近づいてくる。

 その距離は、……ざっと一間(180センチ程)。


「私達は、ただの旅行者ですよ。大人数で伺う前に、一度我々2人だけで下見にきたんです! だから、早く拘束を解いて下さいっ!」


 こちらとしては、率直に、極めて正直に相手に事情を訴えたつもりだ。

 でも、少女達はお互いに顔を見合わせると、……。


「ぷふっ、何を世迷い事を!」


「ククッ、今さら言い逃れするのかい? ガキだからって容赦しないよ!」


 あらら、……。

 ふぅ~ん。容赦、……しないんだ?


 なら、こっちも奥の手でいかせて貰うよっ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ