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天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生  作者: 西洋司
第一部「ハルコン少年期」

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41 サスパニア出張旅行 その4_18

   *         *


「お客さぁ~ん、率直にお訊ねしますけど、……」


「もしかすると、ウチ(サスパニア)の国の人じゃないよね?」


 少女2人が、そう言って交互に訊ねてきた。


「「えっ!?」」


 まさか、……ね。

 どうやら、……ハルコンと元女盗賊さんは、とっくに罠に嵌められていたらしい。


 食い過ぎで身動きのできない元女盗賊さんを見て、ホンと「しまった!」と思った。

 これならスキル「マジックハンド」で、この大量の料理を本国の晩餐の席に送り出しておけばよかったと、今更ながらに後悔したよ。


「……、そげなこと、ないでやす!」


 元女盗賊さんは、辛うじて少女達の問いかけを否定するのだが、……。


 実は、彼女は子供の頃、絶えず飢餓と隣り合わせだったそうだ。

 だから、食べられる時にちゃんと食べる。その際、限界を超えるほどの量すら腹の中に収めてきたのだそうだ。


 そうしないと、今度いつ食べられるかワカらないから、……といった話を、以前彼女から直接伺ったことがある。

 

 たとえ、それがNPCの彼女に植え込まれた偽りの記憶なのか、実際にそんな境遇にあったのかは、こちらにとって定かではない。

 ただ、元女盗賊さんにとって、自身の語る過去こそホンとの話なのだと思う。


 とにかく、今の彼女の胃の容量を限界突破している状態では、その表情にいつもの迫力はない。

 そんな弱り切った元女盗賊さんを、少女達が拘束するのはお手の物だった。


「「クスクス、プフフ、……」」


 少女達は鮮やかな手つきで元女盗賊さんを縛り上げると、冷ややかな笑顔でじっと見つめてきた。


「何ばしよるとでやすか!?」


「見るに、お二人とも、どこぞの国の間者スパイのことではありませんか?」


「……、そげなこと、なかっ!」


 元女盗賊さんは、青白い美麗な顔に脂汗を浮かべつつも、何とか否定しようとする。


「ふふふっ、なら、私達からホンとの正体をお伝えしましょうか?」


「だから、……踊り子、……でやしょ?」


 なるほど。元女盗賊さんは、あくまでしらを切るつもりなのか、とハルコンは思った。

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