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天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生  作者: 西洋司
第一部「ハルコン少年期」

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41 サスパニア出張旅行 その4_12

   *         *


「「はぁ~いっ、2名様のご来ぃ店~っ!!」」


「ご来ぃ店~っ!」


「ご来ぃ店~っ!」、……。


 酔客で込み合った店内の各所から、次々と店員達のよく通る声が木霊した。

 そんな心地いい演出の後、最後に「「「「「いらっしゃいませーっ!!」」」」」と、声を揃えて歓迎の挨拶で出迎えてくれた。


 店内の面積は、ざっと見で90坪(日本のモジュールで換算しております)ほど。思ったよりもずっと広い印象だ。

 

 そのテーブル席の多くが既に埋まっており、このまま夜を過ごす客達で溢れる中を、するすると進んでいく。


 ハルコンと元女盗賊さんは、途中まで2人の踊り子達に案内されながら、店の一番奥にまで通されていった。


「よくやったな、オマエさんらっ! お大尽様を連れてきてくれて!」


 耳の片隅に、そんな店員同士のやり取りがここまで聞こえてくる。


「オメェさんら、アタイらば一見さんじゃっと、真にもてなしやんしぇ!」


 まだ子供のハルコンの代わりに、大人の元女盗賊さんが店員にそう挨拶したところ、……。


「「「「「はぁーいっ、喜んでぇっ!!」」」」」


 と、元気よく挨拶が返ってきた。


「フヒヒヒ、よか店でやんしぇっ!」


 上機嫌そうに、元女盗賊さんが店員達に笑いかける。

 飲んべえの、元女盗賊さんのお眼鏡に適った店だ。さぞやいい店なのだろうと、ハルコンは思った。


 それとなく店内を見渡すと、入口付近のショーレディーの即興の営業といい、愛想のいい店員達の様子、店内の客層が様々なこと、……。

 

 それら全ての要素が、前世の晴子のある日の記憶を甦えらせた。


 務めていた大学の最寄りの東〇宿界隈で、よく飲み会を開いていた、あの馴染みの店のことを、……ふと、思い出していたのだ。


「どうしたでやすか、ハルコン殿? 気おくればしたでやっと?」


「いいえ。何だか、懐かしくて、……」


「……、そうでやんすか?」


 元女盗賊さんは、一瞬不思議そうな顔をするも、先導して個室に案内する店員の方に、直ぐに向き直した。


 軽い間仕切りで仕切られたその個室は、本来なら10名ほどの客達用のテーブルセットが設置されていた。


 真ん中の席に並んで着くや、笑顔の少女の店員がおしぼりとお通し、それと箸を持って現れた。


「いいでやすねぇ、……」


 思わず元女盗賊さんは感激してしまった様子で、……。嬉しそうな顔をして、おしぼりで両手だけではなく、化粧けのない整った顔も、構わず拭いていた。

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