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天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生  作者: 西洋司
第一部「ハルコン少年期」

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41 サスパニア出張旅行 その4_09

   *         *


 今が夏真っ盛りとはいえ、夜分の風はなかなかに沁みる。

 私も元女盗賊さんも、準備なしに日中用の服できちゃったことだし、これからどこかの店にでも入って、軽く一息できればなぁ、とハルコンは思った。


 周囲を見渡すと、茫洋とした夜の農園が広がっていて、人の気配はない。


「人っ子ひとりいないでやすね?」


「そうですね。安全を見て、首都の中心地から少し距離を取り過ぎたかもしれませんね?」


「そのようで、……やすね!」


 その後、夜闇の中、眩い光に包まれた首都の中心地の方を、元女盗賊さんと共にしばしの間、じっと眺めた。


「東に3キロ(地球のモジュールで換算しています)ほどいけば、エドモンドば中心街でやしたね?」


「えぇ。時間がもったいないです。先を急ぎましょう!」


 そう言ってから、適当な位置に生息している小動物のNPCの気配を、ハルコンは探った。


 すると、ここから少し先に中規模の公園があり、夜行性のリスのNPCが木の実を齧っているのを探り当てた。


「ちょうどよか標的をば、見つけたでやしょうか?」


「はい! 私に掴まって下さい!」


「あい!」


 さっそく、ハルコン達は中心地のはずれにある、公園内の林の中に到着した。


 ハルコン達が突然現れたことで、標的のリスはとても驚いてしまったようで、……。

 極度の緊張状態で金縛りにあったように、固まってしまっている。


「フヒヒ、お気の毒でやんす!」


 そんなことを言いながら、元女盗賊さんはツンツンとリスを人差し指で軽く突っつくと、「で、これからどうするでやんすか?」と、笑顔で訊ねてきた。


「そうですねぇ、……。こんな時間に若い女性と子供の2人だけでは怪しまれます。どこかの深夜営業の店に入って、いったん落ち着きたいところですね」


「なるほど。今、手持ちばいくらござあんしょ?」


「現地共通通貨で、金貨20枚と銀貨30枚ってところですね」


「持ち過ぎでやしょ? 王都でも2か月、遊んでば暮らせるでやんし!」


 すると、こちらの何げない言葉を聞いて、元女盗賊さんは若干呆れた表情を浮かべた。


 うぅ~ん。私って、ちょっと常識足らずだったのかなぁ。

 だって、せっかく先行偵察するんだよ。不足があってはダメじゃないかなぁって思ったんだけどさぁ、……。


 それなのに、元女盗賊さんは半ば呆れた表情で、じっと見つめてくるんだからね。


「ダメ、……だった、ですかねぇ?」


 ちょっと窘められるんじゃないかと思って、少し用心してそう訊ねたところ、……。


「いんや。たんだ、やっぱハルコン殿も、立派ばお貴族様になられたんだと思いなんし、……」


 うぅ~ん。何だか、……ちょっぴり非難されてる?

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