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天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生  作者: 西洋司
第一部「ハルコン少年期」

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41 サスパニア出張旅行 その4_03

   *         *


「「ハルコン様ぁーっ。後生ですだっ。ウチらも雇って下せぇーっ!」」


 えっ、何々!? 一体どういう状況なの、これっ!?


 何と、身の丈2メートル(地球のモジュールに換算しています)はあろうかという大柄の女子2人が、猛スピードでこちら目がけて走ってきたんだからね。


 もし仮に、あの巨体の2人が、このまま子供の身体の私に体当たりしてきたらさっ!

 ちょっと、ちょっと、かなりマズいんじゃないのっ!?


 思わず後退りながら、身を屈めて防御の姿勢を取っていると、……。


「ちさまらぁーっ! 止まらんかぁっ!」


 元女盗賊さんが大声で一喝すると、2人の獣人の女子は大慌てで急ブレーキしたんだ。

 すると、ぎりぎりこちらの鼻先三寸のところに、大柄な女子の肉体の壁がふたつ、どぉーんと聳え立った。


 危っねぇ~っ!!

 思わず青い顔をして、そのふたつの壁を見上げると、……。

 虎とゴリラの女子獣人2人と目が合った。


 とりあえず、ニコッと笑顔を作って「どうされましたか?」と訊ねてみたところ、……。

 この2人の女子は、何とも悲痛な表情で「「ハルコン様ぁ~っ」」と、涙ながらに訴えてきたのだ。


「何か事情があるようですね? 伺ってもよろしいですか?」


 たった今まで、散々肝を冷やして、心臓をバクバクさせていたんだけど。

 でも、2人の表情を見ていたら、いても立ってもいられなくなった。


「クドいでやすっ、ちさまらぁーっ! アタイが昨晩ゆったでやす。サスパニアには、オメェらを連れちゃゆかんとっ!」


 元女盗賊さんが眉間に皺を寄せながらそう怒鳴ると、……その迫力にビビったのか、大柄な女子獣人達は震え上がった。


 傍らにいたシリア女史とカルソン教授も、先ほどまでのにこやかな彼女しか知らなかったため、その剣幕に思わずぶるると青い顔をした。


「元女盗賊さんっ!」


 でも、私はダメだ。2人の女子獣人の悲痛な表情を見ていたら、もう黙ってはいられないっ!

 そう思ったら、ハルコンは自然と声が出てしまっていた。


 すると、先ほどまで女オーガの如きオーラを身にまとっていた元女盗賊さんが、表情をクシャっとさせた。


「ハルコン殿ぉ。アタイば、ガキにハルコン殿の護衛など小難しぃばって、もしマンズ何かあったば、よからんと申してるにやす!」


「でも、お二人とも、能力を相当期待できそうなのですが、……」


 こちらが、少しだけ上目遣いで元女盗賊さんを見上げて訊ねてみたところ、……。


「あちゃ~。もぉうよかよ。ハルコン殿にば敵わねぇでやす!」


 そう言って、元女盗賊さんは漸く折れてくれた。


「でしたら、お二人ともっ! サスパニア出張の護衛の任務、そのサポートをお願いしますね!」


「「やっ、やったぁーっ! 我が一族のセイントーク家へのご恩、ぜひともハルコン様にお返しいたしますっ!」」


「ちさまらぁーっ! ハルコン殿を命投げてやも、お守りせぇよ!」


「「はいっ!」」


 元女盗賊さんがそう言って檄を飛ばすと、2人の大柄な獣人女子は、元気溌剌に返事をした。

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